大空小学校に学ぶ児童と教師 (c)関西テレビ放送

「不登校ゼロ」の公立小学校の映画ができたと聞いて、試写を観に行った。

 舞台は大阪市住吉区にある大空小学校だ。

 隣の小学校の児童数が増えすぎたことをきっかけに、2006年4月に開校した。

 全校児童は約220人。発達障害のある子や、自分の気持ちを上手くコントロールできない子などの特別支援の対象は30人を超える。それでも、すべての子どもたちが同じ教室で学ぶ。

 教職員は、クラスや担当の垣根を越えて、みんなで子どもたちを見守る。地域のボランティアや保護者も、サポーターとして子どもたちを支える。

 校舎に貼ってあるのは、「みんながつくる、みんなの学校、大空小」。開校以来、木村泰子校長を中心に、みんなが一緒になって、誰もが通い続けることのできる学校を作り上げてきた。

 そんな“誰にとっても居場所のある学校”づくりの取り組みを取り上げた関西テレビのドキュメント『みんなの学校』は評判を呼び、2013年度に様々な賞を受賞。そのドキュメンタリーを拡大する形で製作したのが、今回公開される映画『みんなの学校』だ。

みんなの学校、唯一のルールは
「自分がされていやなことはしない」

 監督は、番組でディレクターを務めた関西テレビ報道局報道番組部の真鍋俊永さん。実は、同校の取材を始めたのは、職場の同僚で妻でもある迫川緑さんで、真鍋さんは引き継ぐ形で、本格的な長期取材を始めたという。

「(彼女は)元々、障害者の方々と関わる機会が多く、学校で障害を持った子がどのように過ごしているのかを何度か取材していました。その中で、大阪市内にこんな学校があるよと教えてもらったのが大空小との出会いのきっかけです」

 10分ほどのニュース内での特集にした後、迫川さんは、子どもたちの自然で生き生きとした表情を引き続き取材したいと交渉。同じ部署にいた夫の真鍋さんが後を継いで、2012年4月から翌年3月まで、取材を続けたという。