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ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦

戦後70年の今年、中国が仕掛けてくる“罠”

北野幸伯 [国際関係アナリスト]
【第10回】 2015年2月4日
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イスラム国は日本の脅威か?
日本の抱える問題をおさらいしよう

 「イスラム国」が日本に衝撃を与えている。全国民が知っているように、イスラム国は、日本人男性2人を拉致し、日本政府に2億ドルの身代金を要求。それがかなえられないと知ると、湯川遥菜さんを殺害。さらにヨルダンに拘留中の女性死刑囚との交換を要求したあげく、とうとう後藤健二さんまで殺害したとされる。

 身代金要求と殺害予告は、安倍総理が1月17日、カイロで「イスラム国と闘う各国への支援」を約束した後に起こり、ビデオ声明で犯人もそのことを強調している。

 これを理由に、安倍総理を非難する人たちがいる。「総理の演説と、支援が今回の悲劇の原因だ」というのだ。さらに、「欧米と一緒になってイスラム国と戦うべきではない」と主張する人たちもいる。今回は、この複雑な問題、「日本の立ち位置」について考えてみよう。

 実をいうと、イスラム国は日本の大きな脅威ではない。犯人は声明の中で、「お前(=日本)は、「イスラム国」から8500キロ以上も離れたところにいる」と指摘した。

 実際そうなのだ。欧米では、しばしばイスラム過激派によるテロが起こっている。しかし、日本ではこれまでのところ起こっていない。また日本は、イスラム教諸国と友好を保ってきたし、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教の宗教対立とも無縁でいた。

 しかし、安倍総理がイスラム国への空爆を繰り返す欧米支持を明確にすることで、「日本が危険になる」というのは、ある面、そのとおりだ。つまり、今後の日本の動き方次第では、「脅威でなかったものを、脅威にしてしまう」危険性がある。ところが、「欧米と距離を置いて勝手に戦わせておけばいい」と単純にならないのが、大人の世界のつらさである。日本には、「他の脅威」があり、その脅威に対抗するために欧米の力が必要なのだから。

 では、「日本の脅威」とは、なにか? 日本は現在、3国と「領土問題」を抱えている。つまり、中国との「尖閣問題」、ロシアとの「北方領土問題」、韓国との「竹島問題」である(日本政府は、「日中間には領土問題は存在しない」という立場だが)。

 この3つは、どれも「領土問題」だが、「本質」は異なっている。

 なぜか? ロシアは、北方領土を「実効支配」している。韓国は、竹島を「実効支配」している。つまり、この2国は、現状に「満足している」ので、向こうから戦争をしかけてくる可能性は極めて低い。

 しかし、中国は、尖閣諸島を実効支配していない。だから、尖閣を奪うために日本と戦争する可能性が高いのだ。

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北野幸伯 [国際関係アナリスト]

きたの・よしのり/1970年長野県生まれ。モスクワ在住24年の国際関係アナリスト、作家。その独特の分析手法により、数々の予測を的中させている。1996年、日本人で初めて、ソ連時代「外交官・KGBエージェント養成所」と呼ばれたロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を卒業(政治学修士)。1999年創刊のメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」は現在読者数3万6000人。ロシア関係で日本一の配信部数を誇る。主な著書に「隷属国家日本の岐路」(ダイヤモンド社)、「プーチン最後の聖戦」、「日本自立のためのプーチン最強講義」(共に集英社インターナショナル)など。


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