ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

日銀新人事案が暗示する市場への発信力低下

――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
【第163回】 2015年2月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

日銀審議委員の候補となった
「リフレ派」原田氏の変化

 5日、安倍内閣は早稲田大学政治学研究科教授の原田泰氏を、日銀審議委員の候補として国会に掲示した。今回の人事案は、3月25日に任期を満了する宮尾龍蔵委員(元神戸大学教授)の後任人事である。後任候補となった原田教授は、学術的には現日銀副総裁の岩田規久男氏と考え方が近く、徹底した金融緩和で日本経済を押し上げデフレ脱却を図る、いわゆる「リフレ派」の1人と見られている。

 しかし最近は、「CPI前年比+2%」という日銀の目標に対して、同氏の姿勢にやや変化が見られる。すなわち「物価目標はあくまで手段だ」という姿勢を見せ始めている。たとえば、1月のロイターのインタビューでは「物価目標はあくまで手段であり、現在のように原油安で物価動向が見えにくい局面では景気をみて政策判断すればよい」「2%目標を(2015年度に)達成できなくても良いのではないか。2%程度の(実質)経済成長が続けられるような政策運営が重要」「日銀が追加緩和に踏み切る場合の手段としては、引き続き国債買い入れの増額が適切」と述べている。

当面の金融政策には中立

 筆者は、原田氏の審議委員就任は当面の金融政策に対して中立と解釈している。ポイントは、前任の宮尾委員が昨年10月31日に「5:4」の僅差で採択されたサプライズ緩和(QQE2)に賛成していたことである(図表1参照)。したがって、原田氏が後任となることで、現行金融政策に対する賛否の分布が大きく変わるとは想像し難い。

 その意味では、10月のQQE2に反対票を投じ、今年6月30日に任期満了を迎える森本宜久委員(元東京電力取締役副社長)の後任人事がより注目される。なお、森本委員の後任候補が国会に掲示されるのは、5月頃と推測される。

出所:バークレイズ証券
1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧