経営 X 人事
中原淳の学びは現場にあり!
【第3回】 2015年2月18日
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中原 淳 [東京大学大学総合教育研究センター准教授],井上佐保子

「背中を見て学べ」じゃ間に合わない!今ドキ若手育成 
テーラー業界が直面した“高齢化ショック”


⇒検証現場 銀座テーラー【前編】

21世紀を生きる我々にとって、洋服は大量生産された製品から選んで「買うもの」ですが、数十年前まで、特にスーツは、テーラーで「仕立てるもの」でした。しかし、既製服の普及により、職人の数も減少、高齢化が進んでいます。そうした中、手縫いでスーツを仕立てる伝統的な技術を残そうと、若い職人たちを育てる銀座テーラーを取材しました。

[写真]真嶋和隆

昔は“煙草店の数ほど”あったテーラー

 銀座テーラーは1935年創業、テーラーメイドの紳士服を手掛ける銀座の老舗テーラーです。顧客一人ひとりの体型、好みに合わせてデザインを決め、型紙を起こし、裁断します。最高級の生地を使い、ひとりの職人がほぼ全て手縫いによって仕立てるスーツは職人の技の結晶。見えない裏地にまで細かなステッチが施されるなど、丁寧な手仕事が光ります。

 職人のこだわりの詰まったスーツは、ふんわり柔らかな丸みを帯び、既製服との違いは歴然。着心地も着る人の動きを妨げずフィットし、一度袖を通すとやめられない、と長年愛用する顧客が多いそうです。

 日本に洋服が普及した明治以降、スーツはテーラーで仕立てるのが一般的でした。日本中どの町にも煙草店と同じくらい身近な存在としてテーラーがあり、そこで働く職人の数も多かったのです。

 しかし、既製服の普及に伴い、オーダーメイドのテーラーは徐々に減少し、職人たちも高齢化。特にハンドメイドスーツを仕立てる伝統的な技術の継承は難しくなっています。

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中原 淳[東京大学大学総合教育研究センター准教授]

東京大学 大学総合教育研究センター准教授。著書に『職場学習論』『経営学習論』『活躍する組織人の探究』『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長論』など多数。企業における人材開発の実証的研究をすすめるかたわら、さまざまな研修・ワークショップなどを開発・評価。近年では、新任マネジャー向けワークショップ「マネジメントディスカバリー」、人材開発担当者向けワークショップ「研修開発ラボ」などを開発。Blog: http://www.nakahara-lab.net/blog/、Twitter ID: nakaharajun

 

 

井上佐保子(いのうえ・さおこ)

1972年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。通信社、出版社勤務を経て、2006年にフリーランスライターとして独立。企業の人材育成、人材マネジメント、キャリアなどをテーマとして、企業事例、インタビュー記事などを執筆。人事・人材育成分野の書籍ライティングも手がけている。


中原淳の学びは現場にあり!

このコーナーでは、毎回、“学びに満ちた仕事の現場”を訪問し、WorkplaceLearning(職場の学び)の観点から、検証していきます。日頃はあまり目にすることのないさまざまな職種の「現場」。そこでは、どのような仕事がなされ、人はどのようにして知識やスキルを学び、育っているのでしょうか。企業の人材育成では見落とされがちな「学びのスイッチ」を掘り当てます。

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