経営 X 人事
中原淳の学びは現場にあり!
【第2回】 2015年2月12日
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中原 淳 [東京大学大学総合教育研究センター准教授],井上佐保子

女子アナの話はなぜ伝わるのか
加藤シルビアさんの原点“本番中の衝撃体験”


⇒検証現場『TBSアナウンス部』 【後編】

「番組のコーナーを任されたら、そのコーナーに『アナウンサー』は自分しかおらず、“お手本” がありません。『はなまるマーケット』の時は、VTRに合わせてのナレーションも、プロフィール読みも、話題の商品の紹介も、全て台本通り、ガチガチな状態でした!」と新人時代を振り返る加藤さん

テレビやラジオで活躍するアナウンサー。新人育成に欠かせない道具が“ICレコーダ”です。発音の基礎について一通り学んだら、ICレコーダを使って耳を養う訓練をします。ひたすら原稿を読んでは、録音した自分の声を聞き、自ら修正する――この作業を繰り返し、自分の声を客観的に聴くことができるようになれば、一人前に一歩近づいたしるし。加藤シルビアさんも、そうやって育ってきたひとりです。さて、加藤さんが経験した次の「学び」とは。

写真/真嶋和隆

本番中、叱られて知った「伝え方のニュアンス」

 加藤さんが最初についた番組は「はなまるマーケット」という生活情報番組でした。担当はオープニングの短いコーナーや、はなまるカフェというゲストをお招きするコーナーなどでのアシスタント的な仕事。

 しかし、「当時はガチガチに緊張していて、『台本通りの言葉を台本通りのタイミングで言う』ということしか頭になくて……。今振り返ると全く合格点までたどりついていませんでした」

 そのことに気づいたのは、2年後、朝5時半からの生活情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」のキャスターとして抜擢された後でした。みのさんとの丁々発止の掛け合いは全て台本なしの即興。

 「みのさんの率直な疑問に答えるべく、毎日、質問を予想して調べて覚えて返して……」ということを繰り返すうち、うまく答えを返したことで番組が盛り上がる瞬間があり、「自分が新たに繰り出した球がプラスに働くことがある」、と気づき仕事が楽しくなったといいます。

 「『はなまる』時代の私は、単に台本通り自分の役割をこなすことが満点だと思っていたのですが、それでは80点。タイミングよくコメントしたり、VTRが出ない、物が用意できないといったスタジオがピンチの場面を上手くフォローしたりと、もっとアナウンサーとして番組をよくすることができたはずなんです。でも当時は80点の上があるということに気づきませんでした」

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中原 淳[東京大学大学総合教育研究センター准教授]

東京大学 大学総合教育研究センター准教授。著書に『職場学習論』『経営学習論』『活躍する組織人の探究』『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長論』など多数。企業における人材開発の実証的研究をすすめるかたわら、さまざまな研修・ワークショップなどを開発・評価。近年では、新任マネジャー向けワークショップ「マネジメントディスカバリー」、人材開発担当者向けワークショップ「研修開発ラボ」などを開発。Blog: http://www.nakahara-lab.net/blog/、Twitter ID: nakaharajun

 

 

井上佐保子(いのうえ・さおこ)

1972年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。通信社、出版社勤務を経て、2006年にフリーランスライターとして独立。企業の人材育成、人材マネジメント、キャリアなどをテーマとして、企業事例、インタビュー記事などを執筆。人事・人材育成分野の書籍ライティングも手がけている。


中原淳の学びは現場にあり!

このコーナーでは、毎回、“学びに満ちた仕事の現場”を訪問し、WorkplaceLearning(職場の学び)の観点から、検証していきます。日頃はあまり目にすることのないさまざまな職種の「現場」。そこでは、どのような仕事がなされ、人はどのようにして知識やスキルを学び、育っているのでしょうか。企業の人材育成では見落とされがちな「学びのスイッチ」を掘り当てます。

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