女子アナの話はなぜ伝わるのか<br />加藤シルビアさんの原点“本番中の衝撃体験”「番組のコーナーを任されたら、そのコーナーに『アナウンサー』は自分しかおらず、“お手本” がありません。『はなまるマーケット』の時は、VTRに合わせてのナレーションも、プロフィール読みも、話題の商品の紹介も、全て台本通り、ガチガチな状態でした!」と新人時代を振り返る加藤さん

テレビやラジオで活躍するアナウンサー。新人育成に欠かせない道具が“ICレコーダ”です。発音の基礎について一通り学んだら、ICレコーダを使って耳を養う訓練をします。ひたすら原稿を読んでは、録音した自分の声を聞き、自ら修正する――この作業を繰り返し、自分の声を客観的に聴くことができるようになれば、一人前に一歩近づいたしるし。加藤シルビアさんも、そうやって育ってきたひとりです。さて、加藤さんが経験した次の「学び」とは。

写真/真嶋和隆

本番中、叱られて知った「伝え方のニュアンス」

 加藤さんが最初についた番組は「はなまるマーケット」という生活情報番組でした。担当はオープニングの短いコーナーや、はなまるカフェというゲストをお招きするコーナーなどでのアシスタント的な仕事。

 しかし、「当時はガチガチに緊張していて、『台本通りの言葉を台本通りのタイミングで言う』ということしか頭になくて……。今振り返ると全く合格点までたどりついていませんでした」

 そのことに気づいたのは、2年後、朝5時半からの生活情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」のキャスターとして抜擢された後でした。みのさんとの丁々発止の掛け合いは全て台本なしの即興。

「みのさんの率直な疑問に答えるべく、毎日、質問を予想して調べて覚えて返して……」ということを繰り返すうち、うまく答えを返したことで番組が盛り上がる瞬間があり、「自分が新たに繰り出した球がプラスに働くことがある」、と気づき仕事が楽しくなったといいます。

「『はなまる』時代の私は、単に台本通り自分の役割をこなすことが満点だと思っていたのですが、それでは80点。タイミングよくコメントしたり、VTRが出ない、物が用意できないといったスタジオがピンチの場面を上手くフォローしたりと、もっとアナウンサーとして番組をよくすることができたはずなんです。でも当時は80点の上があるということに気づきませんでした」