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上を向いて、走りましょう
ED診断直後はうつ病に注意

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第236回】

 性機能に目が向きがちだが、実は男性の心身の健康のバロメーターでもある「勃起」。

 実際、ED(勃起障害)の相談者を前にした場合、診断する医師は性機能検査に加えて、血圧、血糖値の検査や心血管疾患既往の確認、そして心理的テストを実施するよう推奨されている。

 昨年末に報告された台湾・高雄医学大学病院の研究者らによると、ED患者はうつ病発症リスクが高く、特に診断直後から1年以内の発症リスクは、非ED者の約3倍も高いという。

 本研究の対象は、台湾の保険請求データを使って選別された。試験対象集団は、1997~2005年にEDと診断された男性、2727人。比較対象として被験者1人に対し、年齢が一致する非ED者5人(合計、1万2635人)を無作為に選び、5年間の追跡調査を行っている。

 その結果、ED患者のうつ病発症リスクは非ED者と比べ、2.24倍高く、特に診断後1年の発症率は、3.03倍にも上昇することが示されたのだ。

 EDとうつ病の関連は、たびたび指摘されていた。今回の研究とは逆に、うつ症状が先行している患者を対象とした複数の調査を総合すると、うつ症状にEDが合併するリスクは非うつ患者の約2倍に上昇する。うつ病治療に頻用されるSSRIなどの抗うつ薬は、薬剤性EDを誘発する可能性もある。「ニワトリが先か卵が先か」は別にして、うつ症状とEDの関連には注意が必要だろう。

 さて、EDとうつ病の両者を予防するには、適度な運動を心がけること。週に2.5時間以上ランニングをしている人は、EDリスクが30%低下するほか、筋トレやランニングなど負荷が高い運動を習慣にしていると、EDリスクが半減することが知られている。

 うつ病の予防にも運動は最適だ。運動刺激は脳の神経成長因子を活性化し、抗うつ効果を発揮する。戸外で太陽光を全身に浴びれば、抗うつ効果があるビタミンDの生成も期待できる。

 春の訪れとともに、週末は陽光を求めてランニングに出かけよう。パートナーと一緒なら、なおいい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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