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外科医のつぶやき

人類の天敵なのか、ウイルス感染症

柴田 高
【第7回】

 ここ数年、鳥インフルエンザの話題が頻繁に出るようになっていたが、2009年ゴールデンウイーク前、ついに新型インフルエンザが発生し、弱毒性といえども人類全体に脅威を与えている。季節性のインフルエンザになるまでしばらくは、新型インフルエンザの話題が続くだろう。

 最初に報道されたメキシコシティの様子を映し出すニュースの中に見えたテンプロ・マヨール遺跡の映像が印象的であった。それはまさしくアステカ帝国の遺跡である。アステカ帝国の滅亡の最大の原因はスペイン人が持ち込んだウイルス、天然痘の大流行ともいわれている。直接疫病をもたらすウイルス以外にも、身近なところにウイルスは存在し、人々の体にひそかにすみつき、厄介な病気をもたらす。

 「先生、最近貧血で元気がでないので輸血してください。特に若い人の血、輸血してもらえないでしょうか」。Sセンター外科の診療で、患者さんから突然こんなことをいわれたことがあった。「輸血をすると貧血は改善して元気になりますが、肝炎が起こる危険性もありますから、簡単にはできませんよ」と私。

 当時はまだC型肝炎ウイルスが発見されておらず、輸血後に10%以上の方が肝炎を発症するので、「輸血後肝炎」なる病名がカルテに記載されていた。慢性肝炎や肝硬変そして肝臓ガンの多くがC型肝炎によって引き起こされることが解明されたのは最近のことである。

 肝ガンの患者さんはしばしばウイルスが原因と思われる肝炎を合併しており、常に感染性ウイルスと背中あわせの診療である。当時の患者さんはB型ウイルス陽性であれば、感染ありという扱いで、厳重に注意するが、輸血後肝炎もしくは非A非B肝炎と呼ばれる肝炎患者さんは、通常、感染症はない患者さんとして扱われていた。

 「この患者さんはe抗原陽性B型肝炎の方だから、くれぐれもケガのないようにしてください」と術前に執刀医のS先生から注意が出た。S先生は「サンドイッチ療法」を開発した肝がんのエキスパートである。

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柴田 高

川崎医科大学卒業後、大阪大学論文博士課程修了。日本外科学会指導医。日本消化器外科学会専門医。現在は大幸薬品社長。著書に『カリスマ外科医入門』『肝癌の熱凝固療法』がある。


外科医のつぶやき

現在は製薬会社役員である外科医師による医療エッセイ。患者の知らない医師の世界。病院の内側が覗ける、ここだけの話が満載。

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