
「ついに大ナタが振るわれた」という見出しを掲げた経済誌もある。この4月、東京証券取引所はグロース市場の「上場維持基準」の見直し内容を公表した。周知のように東証は3年前の2022年4月、それまでの旧1部と2部、ジャスダック、マザーズの4市場を、プライム、スタンダード、グロースの3市場に再編した。旧ジャスダックと旧マザーズを引き継いだグロース市場は、高成長が望めるスタートアップ企業がひしめく市場という触れ込みだった。
確かに「SHIFT」や「MonotaRO」など一気にプライム市場に昇格した企業もあったが、多くの銘柄が上場後も株価低迷続き。プライムとスタンダードの両市場が株価上昇を続けているのに、唯一、グロース市場の株価指数は24年が8.8%安で4年連続下落と惨憺たる有り様だった。そんな事情から東証は、それまでの「上場10年後に時価総額40億円」とした上場維持基準を、「上場5年後に100億円以上」と厳格化する。
早速、グロース市場上場企業から「厳しい」「いや、当然だ」などと、賛否の声が上がっている。もちろん、新基準が適用されるのは5年後の30年から、と猶予期間があるが、早くも5年後には上場廃止になるかも、と大騒ぎなのである。グロース市場には医療系ベンチャー企業の上場も多い。果たしてどこが上場廃止になりそうなのか――。