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時価会計の本質は何か?
原価会計との比較で考える

千賀秀信
【第4回】 2009年6月25日
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 昨年の金融危機後に、突然起こった時価会計の見直し議論があったのはご存知でしょうか。米証券取引委員会(SEC)が昨年9月末に打ち出し、企業が保有する証券化商品などの金融商品に対して一部時価会計の適用をしないなど、緩和策が実施されています。

 これによって、欧米の大手金融機関は2008年12月期決算で、およそ2兆円もの損失を回避できたということです。欧米が先行し、その後日本でも企業会計基準委員会が時価会計の緩和策を決定しています。今回の金融危機があまりにも突然で、影響が大きかったことが、議論の始まりですが、時価会計を主導していた米国から出た見直し論は、世の中のパラダイムが変わったことを予感させる出来事です。

 今回は、時価会計の本質について、従来からある原価会計と比較しながら、簡単な事例を使って考えてみましょう。世の中のパラダイムが、今後どのように変わるか見えてくるかもしれません。

(注)時価会計とは、会社の資産や負債を時価で評価して、貸借対照表や損益計算書を作る会計ルールです。これに対して原価会計とは会社の資産や負債を原価(購入価額)で評価して、貸借対照表や損益計算書を作る会計ルールです。

◆田中さんが所有している食品スーパーの売却を例に考えましょう。

 田中さんの会社((株)田中スーパー)は、5年前に資本金1000万円で設立しました。地元に密着した食品スーパーを目指してきました。5年間経過した貸借対照表(表1)は次の通りです。

 総資産1億円、負債4000万円なので、純資産は6000万円です。総資産の内訳は、現預金2000万円、売掛金1000万円、在庫3000万円、店舗建物などの有形固定資産は3000万円(購入価格4000万)、この他、敷地を借りているので差入保証金1000万円(土地返還時に返却される)があります。経営成績は5年平均で見ると、年間売上2億円、当期純利益1000万円です。

 田中スーパーの業績は好調なため、このスーパーを傘下に収めたい大手スーパーが買収に乗り出してきました。大手スーパーの提示は、負債4000万円を大手スーパーが引き継ぎ、さらに田中さん所有の株式を7000万円で購入するというものです。いわゆる株式買収です。しかし、社長はそのまま田中さんが引き継ぐ条件です。

 オーナーの田中さんは、買収には反対で、自分の考え方を進めながら、地元のお客様から愛される店にしたいと熱望しています。大手チェーンに入るということは、自分を失うことになるからです。

(株)田中スーパーの賃借対照表
(表1)

 もしスーパーを売却すると、田中さんには利益が出ますか。それはいくらですか。

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千賀秀信

せんが・ひでのぶ 公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」という点で、多くの企業担当者や受講生からよい評価を受けている。研修、コンサルティング、執筆などで活躍中。大前研一のアタッカーズ・ビジネススクール講師。著書に『新版・経営分析の基本がハッキリわかる本』(ダイヤモンド社)、『経営センスが高まる! 計数感覚がハッキリわかる本』(ダイヤモンド社)、『「ベンチャー起業」実戦教本』(プレジデント社:共著)、『会社数字がわかる計数感覚ドリル』(朝日新書)などがある。
●マネジメント能力開発研究所のホームページ
http://homepage3.nifty.com/maneji/


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