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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

物価が下落して、経済の好循環が始まる

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第3回】 2015年3月12日
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 ここ2年ほどの間に、円安によって消費者物価が上昇した。他方において、昨年秋からの原油価格下落が物価を下げている。これら2つの逆方向の動きは、実質所得や実質消費にどのような影響を与えているか? 実質所得が増加する条件は何であろうか?

実質所得減少の要因は
消費税増税ではなく円安

 GDP統計における実質雇用者報酬は、2013年1~3月期がピークで、それ以降減少している(図表1参照)。この間、名目報酬は増えているので、減少は物価上昇のためだ。報酬の名目値の上昇に追いつかないほど、消費者物価が上昇したわけだ。

 14年10~12月期の値を13年1~3月期と比べると、名目では2.7%上昇したが、実質では1.3%下落した。

 つまり、デフレーターが4%上昇したわけだ。うち2%は消費税としても、残り2%は円安による消費者物価上昇である(消費者物価上昇率は、後出の図表5を参照)。

 家計調査でも、同様の傾向が見られる。図表2に見られるように、勤労者世帯(二人以上の世帯)の実収入の対前年同月実質増減率は、13年10月からマイナスに転じた。そして14年4月から10月にかけて、マイナス4%台からマイナス6%台の値であった。したがって、消費税増税の影響を除いても、対前年比でマイナスになっているわけだ。

 いずれのデータでも、実質所得の減少は、消費税増税より1年以上も前から始まっていることに注意が必要だ。つまり、実質報酬の減少は、消費税増税によってもたらされたものではない。円安による消費者物価の上昇によってもたらされたものだ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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