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魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

開店前から100人待ち「平塚漁港の食堂」の経営力

池田陽子 [食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]
【第12回】 2015年3月30日
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 豊饒な漁場で育まれた海の幸が水揚げされ、国内でも有数の海洋産物の宝庫である神奈川県平塚市・平塚漁港。サバやイワシ、アジなど定置網漁業、シラス船曳網漁業やヒラメ、イセエビを獲る刺し網が盛んだ。

 こんな国内でも有数の海洋生物の宝庫だが、筆者はその事実をこの度、初めて知った。しかも、残念なことに当の平塚市民でさえ、地元に漁港があることを知らない人が多いというのだから驚きだ。

前回は、そんな平塚市民さえ知らない平塚漁港の認知度アップに奮闘する平塚市漁業協同組合の数々の作戦を紹介した。しかし漁港はそれに満足せず、とんでもない「ビッグなプロジェクト」を開始した。

オープン直後から大盛況!
平塚漁港直営の食堂が誕生

 漁協では「地魚の消費拡大の決め手」として、目指していたある課題があった。それが「平塚の魚の魅力を発信する拠点となる施設」を設けること。地元の人々が気軽に地魚に親しめる『直営の飲食店』が望まれていたのだ。

 また「低利用魚」を使った加工品の拡充も課題のひとつだった。平塚でメインとなるのは定置網漁。魚種が豊富であるがゆえに、網には、じつにさまざまな魚や、小魚もかかる。知名度が低く一般的ではない、あるいはサイズが小さすぎて規格外という理由から、市場の流通にのらないために値がつかない魚、いわゆる「低利用魚」の付加価値を高めることが漁業活性化の起爆剤として期待されていた。

 これまでも漁協はシイラやソウダカツオ、カタクチイワシといった低利用魚を利用した商品開発を手掛けていた。そのための加工施設が必要だったのだ。

「平塚漁港の食堂」。オープン直後から大盛況、今でも休日には長蛇の列になる。優先予約もあり

 その夢が、ついに昨年実現された。漁協の「平塚漁港で水揚げされる魚の販路拡大と新商品開発による地産地消促進事業」が、農水省の6次産業化事業認定を受け、その一環として2014年4月、漁協が所有する敷地内に平塚の魚を利用した飲食店兼加工場施設「平塚漁港の食堂」が完成した。

 場所は漁協にほど近い、茅ヶ崎方面から大磯へ向かう国道134号線の側道。組合員の中には「あのあたりじゃあ、ファミレスに行く人がほとんど。食堂なんてお客さんが本当に来るのか?」と心配する声もあった。

 しかし、その不安はあっさりと覆された。

 食堂はオープン直後からいきなりの大盛況。休日には長蛇の列、平日もほぼ満席。メディアにも取り上げられ、開店前の時点で100人待ちとなる事態まで起こり、あまりの繁盛ぶりに食材が追い付かず、夜の営業は当面見合わせになったほどだ。

 ここまでの大繁盛になったのは、平塚の魚の美味しさに加えて、「平塚漁港の食堂」が「とんでもない」食堂だったからだ。

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池田陽子[食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]

宮崎生まれ、大阪育ちのアラフォー。立教大学卒業後、出版社にて女性誌、ムック、機内誌などの編集を手がける。取材を通して、カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは?という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。自身の体調の改善、美容効果などをふまえてふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる薬膳の提案や、漢方の知恵をいかしたアドバイスを、執筆、講習会などを通して行う。また、日本各地の食材を薬膳的観点から紹介する活動も積極的に取り組み、食材の新たな魅力を提案、発信を続け、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。著書に「ゆる薬膳。」(日本文芸社)「缶詰deゆる薬膳。」(宝島社)、「『ゆる薬膳。』はじめたらするっと5kgヤセました!」(青春出版社)などがある。
■HP:www.yuruyakuzen.com
■Facebook:https://www.facebook.com/yoko.ikeda.79

また、鯖をこよなく愛し、日本全国・世界のさば、さば料理、さば缶を楽しみ、さば文化を語り、さばカルチャーを発信し、さばで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動している「全さば連」(全日本さば連合会)にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。
■全さば連HP:http://all38.com
■FACEBOOKページ:http://www.facebook.com/mackerel.cava  

 


魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

和食が世界遺産に認定され、改めて見直される「魚食文化」。日本各地にはさまざまなおいしい魚が水揚げされ、地元ならではの「魚料理」があります。この連載では日本各地の各種魚の産地を訪ね、「とっておきの漁師料理/ご家庭の魚料理/ご当地魚グルメ」を紹介。あわせて漁の様子、市場の風景など、おいしい「浜のめし」を支える人々の活躍をお届けします。

「魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子」

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