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岸博幸の政策ウォッチ

基地問題や禁煙問題で目につく行政の暴走を見逃すな

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第5回】 2015年4月3日
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 昨今の国会での審議を見ていますと、安倍首相をはじめとして閣僚の答弁が結構荒っぽいというか、雑だなあと感じることがよくあります。どうもそれが伝播してしまったのか、行政の対応でもちょっと驚くような荒っぽい対応が目につくようになってきました。

なぜ米軍基地問題に介入?
農水省の権限を逸脱した判断

米軍基地の移設問題に揺れる辺野古の海

 その典型例は、沖縄県知事が米軍普天間飛行場の辺野古への移設作業を停止するよう沖縄防衛局に指示したのに対して、農水省がその指示の効力を停止すると決定した一件です。

 ところで、なぜ農水省が米軍基地問題に登場するのでしょうか。それは、移設作業の停止の指示が、具体的には沖縄県が一度出した岩礁破砕許可に関わるものだからです。沖縄防衛局が海に投入したコンクリートブロックが岩礁破砕の許可区域外でサンゴ礁を損傷した蓋然性が高いので、移設作業を停止させて県が調査する必要があると判断したのです。

 そして、沖縄県の岩礁破砕許可の権限は、そもそも農水省が所管する水産資源保護法に基づくものであるため、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき、この法律を所管する農水省に指示の効力を止める執行停止を申し立てたところ、農水省は効力の停止を決定したのです。

 この決定を巡っては、既にメディアで「行政不服審査法は国民の権利保護を本来の目的としており、政府が利用するのはその趣旨に沿わない」などと批判されていますが、それ以上に憂慮すべき問題があります。

 報道によると、農水省は決定の理由として、「知事の指示により作業を中止すれば普天間基地の移設が大幅に遅れ、基地周辺の住民にとって危険性や騒音の損害が続くこと、日米両国間の信頼関係に悪影響がおよび、外交・防衛上の損害が生じる」ことなどを挙げ、こうした損害を避ける緊急性の観点から沖縄防衛局の申し立ては相当であるとしています。

 私はこのニュースを聞いてびっくりしました。農水省が自らの所管外である外交関係を理由に挙げていたからです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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