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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

サイバーセキュリティの強化は
企業を成長させる原動力になる

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第11回】 2015年4月13日
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ITビジネスの3大トレンドに
共通する課題とは?

 私はさまざまな国際会議やミーティングに参加していますが、その中で見えてきたのは、3つの世界的なトレンドです。

 まず1つは、直接身につけられる「ウェアラブルデバイス」の普及。

 4月24日には「Apple Watch」が米国や日本で発売されますが、アップルが今後、「ウェアラブルデバイス」を通して世の中をどのように変えていくのか、世界中の注目が集まっています。

 Apple Watchはあんなに小さくても、15年前のスパコンと同じくらいの処理能力があります。専用アプリの開発競争も、よりいっそう活発になり、多種多様なアイデアやビジネスチャンスが生まれることでしょう。

 2つめは「データマイニング」です。

 データを集めるビッグデータではなく、今注目されているのは大量に蓄積されるデータを解析し、その中に潜む知識を探し出すという次のステップ。人工知能によって、これまで考えもしなかったビジネスモデルが生まれてくる可能性が指摘されています。

 そして最後は「CIO(チーフ・インテグレーション・オフィサー)」の導入です。

 本来、CIOとは「チーフ・インフォメーション・オフィサー」のこと。企業の情報化戦略を立案し、実行する責任者を指します。

 しかし、インターネット・エコノミーやデジタル・エコノミーと呼ばれていた時代は終わり、「エコノミー=デジタル」となった今、全社的・組織横断的にITとセキュリティ対策を統合する「インテグレーション」がより重要になってきたというわけです。

 じつは、これらに共通する課題が「サイバーセキュリティ」です。インターネットをビジネスツールとして用いるのならば、サイバーセキュリティ対策も継続的に進化させ続ける必要があるからです。

サイバー攻撃によって
倒産する企業が出てもおかしくない

 米コンサルティング会社、PwCが77カ国、1322人のCEOを対象に行った「第18回世界CEO意識調査」(2015年1月20日にダボスで発表)でも、サイバーの脅威を懸念事項として挙げたCEOは前年の48%から61%に大幅に増えています。

 この背景として、2013年の終わりから2014年にかけて起きた3つのサイバー攻撃による事件が大きく影響していると思います。

 2013年11月には、全米5位の売上規模を誇る小売りチェーン大手「ターゲット」がハッカーの攻撃を受け、膨大な顧客の個人情報が流出する事件が発生。その情報開示が遅れたことで株価も下落、信用も失墜しました。2014年5月には、巨額の損失を出したことを理由に、CEOが事実上解任されています。サイバーセキュリティの最高責任者であるCIOやCSOではなく、経営トップが解任されるという事態に、多くのCEOは強い危機感を抱いたことでしょう。

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齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。

ご意見は、ツイッター@whsaitoまで。

 


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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