将来世代への投資がなければ、国が衰退してしまうのだが……

 こんにちは、鈴木寛です。

 先日、知人から「先生のお名前をまさか週刊誌の中吊り広告で拝見するとは」と驚かれました。彼が話題にしていたのは先日発売の週刊プレイボーイ(4月27日号)。投資家の山本一郎さんと対談した記事が掲載されました。

 私と若者向けの娯楽雑誌の“ミスマッチ”に意外な思いをされた方もいるかもしれませんが、選挙年齢の18歳引き下げが現実味を帯びてくる中で、高齢化社会対策やシルバーデモクラシーの問題を若い世代に知ってもらえればと思い、ご協力した次第です。今回のコラムは対談を補足します。

「小泉時代」がラストチャンスだった
もはや回復は絶望的な日本の人口

 対談でも述べましたが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを境に私たちの国を何とか持続させるには、体質改善をしていくしかありません。ダイヤモンド・オンラインを愛読されるビジネスパーソンの方であれば、ご承知のことではありますが、経済成長は「生産年齢人口」に比例するものであり、21世紀に入ってからは「イノベーション」の要素が強まって、「経済成長=生産年齢人口×イノベーション」になっています。

 この関数に当てはめると、日本は今のところはアベノミクス効果で何とか景気を持ち直したように見えていますが、中長期に見れば厳しい現実が待ち受けていることは明らかです。すなわち、2008年頃に始まった人口減少に歯止めが効かず、一方でアメリカ、EUよりもR&D(研究開発)投資額が大きく見劣りする中では劇的なイノベーションを繰り出すのも難しく、マイナス成長を待ち受けるしかありません。

 手厚い家族手当で出生率を回復したフランスに倣うべきという提言もしばしばされますが、遅きに失したと言わざるを得ません。団塊ジュニア世代はもう40代。女性が今から複数の子どもを出産するのは困難です。

 振り返れば、民主党政権下の子ども手当政策でやや回復の兆しもありましたが、焼け石に水。せめて5年ほど継続していればある程度の成果は出せたのかもしれませんが、リーマンショック後の不況に伴う財政事情の悪化により、第一弾のみで終わらざるを得ませんでした。最大のチャンスは団塊ジュニア(1972~74年生まれ)が子育て世代に差しかかる2000年代前半にありましたが、当時の小泉政権、並びに野党も含めて、人口問題が国政の大型アジェンダにはなりませんでした。