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岸博幸の政策ウォッチ

AIIBへの対応でブレた日経と経済界のダメ具合

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第7回】 2015年5月1日
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 中国が年内の設立に向けて動いているアジアインフラ投資銀行(AIIB)。こちらへの参加問題について見ていくと、多くの経済人(=大企業経営者)と経済界の御用新聞である日経新聞が大きくブレているようです。

AIIBに参加する必要はまったくなし

AIIB参加について、日経新聞は主張がブレていないだろうか?

 実際、3月ころまでは「AIIBは意思決定プロセスなどが不透明なのだから、日本は参加する必要なし」といったトーンの主張が多く見受けられました。ところが、イギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパの主要国が参加に舵を切り、最終的に57ヵ国と予想以上に多くの国が参加を表明すると、「日本も参加しないとアジアのインフラビジネスに乗り遅れる」、「アジア開発銀行とAIIBが協調してアジアの経済発展につながるプロジェクトを推進できるよう、日本もAIIBに参加すべき」、「アジア市場の将来性を見据えた外交戦略を考えるべき」と、それまでとは正反対の主張に変わっています。

 しかし、現実には、既に多くの識者がネット上で主張しているように、現段階で日本がAIIBに焦って参加する必要性はまったくありません。

 というのは、日米が参加しなければ、AIIBの格付けは確実に低くなるからです。AIIBへの中国の出資比率が最大になる(50%とも3分の1とも言われていますが)のが確実な中で、中国自体の金融市場における格付けが高くないことを考えると当然ですが、国際機関としては非常に低いAマイナスになるのではという噂もあります。

 そうなった場合、AIIBが金融市場から資金を調達するときの金利はアジア開銀より1%高くなるのではないかと言われています。また、そもそもAIIBは投資不適格と判断せざるを得ないのではという声もあります。

 こうした金融市場での現実を考えると、日本が自ら焦って中国にAIIB参加を働きかける必要などまったくないと言えます。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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