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シリーズ・日本のアジェンダ 崖っぷち「人口減少日本」の処方箋

「人口減少=悪」ではない
次世代に向けて発想を転換せよ

――速水 融・慶應義塾大学名誉教授

室谷明津子 [フリージャーナリスト]
2015年5月7日
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人口が減少か停滞する時期に文化が花開く
ペスト流行とルネサンスの関係

 さらに歴史を振り返ると、文化が成熟し花開くのは、人口が減少または停滞している時期と重なります。

 例えば江戸時代には、人口も領土もほぼ一定に推移した状況下で、世界に類を見ない文化の爛熟期を迎えました。また、14世紀にペストが大流行した欧州では、イタリアを中心に大勢の死者が出ましたが、この時期に同国からルネサンスが始まったのは偶然ではないと思います。

 人口が激減し、国力が衰えて没落してもおかしくなかったイタリアで、「再生」を表す芸術運動が興り、欧州中に広まったのです。

 なぜ人口が減ると文化が発達するのか。思うに、人口が増加する時代にはモノを増産して消費も増え、経済がどんどん拡大していきます。一方、人口減少社会では生産量を増やす必要はなく、人口が減ることで1人当たりの所有物が増えます。

 社会が成熟し、人々は余暇を楽しむようになる。経済は停滞しますが、代わりに芸術・文化にお金が回っていくのではないでしょうか。もちろん、人口減少社会になれば、必ず文化が成熟するというわけではありません。人口減少をきっかけに拡大一辺倒から価値観を転換し、文化を成熟させる方向に社会やお金の回し方を変えていくリーダーが必要です。

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室谷明津子 [フリージャーナリスト]

むろたに・あつこ/富山県生まれ。みずほ総合研究所での法人向けコンテンツ企画・制作を経て独立。国内市場が縮小する困難な時代に結果を出す経営者や、ビジネスの現場を多数取材。成熟化する日本の新しい社会の動き、そこで活躍するユニークな人々の取材も多い。


シリーズ・日本のアジェンダ 崖っぷち「人口減少日本」の処方箋

「日本で人口減少が始まった」と言われて久しい。先の国勢調査によると、足もとの日本の人口は約1億2806万人。国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると、この数が2030年に1億1522万人、さらに2060年には8674万人まで減ると予測されている。人口は国の国力を推し量る上で最も重要な指標だけに、今の日本の状況はまさに「崖っぷち」と言える。世間では、少子化、高齢化などの現象について、様々な角度から分析が行われている。しかし、全ての国民が人口減少について、正しく理解しているわけではない。なぜ人口減少が起きるのか。その真のリスクとは何なのか。我々が直面する近未来の「途方もない変化」についてリサーチする。

「シリーズ・日本のアジェンダ 崖っぷち「人口減少日本」の処方箋」

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