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4月上旬、愛媛の地に北越紀州製紙の岸本晢夫社長の姿があった。多忙なトップが遠路はるばるやって来たというのに、岸本・北越社長は目的を完遂できずに帰ることになる。佐光正義・大王製紙社長が面会を突如キャンセルしたからだ。
この面会は、毎年6月下旬に開かれる大王の株主総会を前に、佐光・大王社長が、筆頭株主である北越の岸本社長を主力の三島工場(愛媛県)へ招くというものだった。
ところが、4月1日に北越と三菱製紙の販売子会社の合併破談が発表されると、その原因が「大王が三菱に本体統合を持ち掛けたからだ」と報じられ、佐光・大王社長が「北越が情報を流した疑いがある」と激怒。北越に面会中止が伝えられた。
岸本・北越社長は佐光・大王社長に直接電話もかけてみたがつながることはなく、「予定通り会いましょう」と伝言を残して三島工場へ出発。佐光・大王社長が姿を見せることはついぞなかった。
「報道一つで大株主にこんな対応をするなんて!」。業界関係者は驚きながら事の顛末を明かした。