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三谷流構造的やわらか発想法

「教えない」究極の教育法
~生物も文化も、進化は不完全さから

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第112講】 2015年5月14日
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「狩猟採集民に教育なし」?

 文化人類学者たちによる長年の観察・研究によって、狩猟採集民(ピグミー、ブッシュマン、イヌイット、アボリジニなど)での「教示の不在」がわかっています。たとえば、こんな様子です。

・事例1:母親が魚をさばいている。そばの子どもがそれを見ているが、親はさばき方を教えようとはしない
・事例2:年の離れた子どもたちが道具を使って遊んでいる。年少者が遊び道具をつくろうとしているが、年長者は見ているだけでつくり方を教えようとはしない

親や年長者は、教えればすぐできることでもあえて教えません。子どもたちが自らやることを待ち、失敗したら笑ってあげるのです。

 個々人の創造性を引き出すためだ、といわれています。ヒトは教われば同じことをやるだけです。それが一番楽なので。そこに「創意工夫」はありません。

 「教えない」ことによる教育法は、おそらくは現生人類ホモ・サピエンスの力を引き出すための原初のやり方だったのです。

教えないが、見させて学習機会を与えるピグミー族

 しかし最近、日本が世界に誇る「交代劇(*1)」研究の一貫で、ただ「教えない」だけではないことがわかってきました。

 「交代劇」研究で知りたいことは「ネアンデルタール人は滅び、ホモ・サピエンスは生き残った。それはどんな学習能力・方法の差によるものか」です。

 当時のホモ・サピエンスの学習能力や方法を推定するために、その名残をもつ現代の狩猟採集民を研究しているわけです。全体で6プロジェクトが編成されましたが、寺嶋秀明教授率いる研究班A02がこれを担います。

*1 正式名称は「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化に基づく実証的研究」。代表は赤澤威教授。

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三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

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