ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
三谷流構造的やわらか発想法

なぜヒトだけが氷河期を生き延びたのか?
~道具の起源はアイデアの宝庫

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第79講】 2014年2月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

なぜ法隆寺は重厚なのか?

 日本の建築様式は15世紀 室町時代を境に大きく変容しました。「力強い重厚さ」から「繊細な様式美」へと。重厚さの代表が7世紀創建の法隆寺であり、繊細さの極致が17世紀造営の桂離宮(書院造り)でしょう。

 この大きな変化を後押ししたのは、実は中世における、建築資源の枯渇と技術的進歩でした。

 法隆寺で使われる部材はみな、とても太くて厚いものです。扉の中で最大である金堂正面の扉は当初、高さ3m、幅1m、厚さ10cmのヒノキの1枚板でした。重さは百数十kgになります。

 表面は柱と同様、ヤリカンナ(穂先が曲がった槍のような形の道具)で少しずつ削り取るように加工してあり、それらが建物自体の重厚さを生んでいるわけなのですが、これは同時に、とてつもない資源と労力の無駄ともいえます。

 ではなぜそんな大きく分厚い部材を使っていたのでしょう。それは、「製材技術」の未熟さゆえでした。

 当時はまだ大きなノコギリがなく、大きな板状のものを作には「割って削る」しか方法がありませんでした。それでは薄い板はとても作れません。「大ノコギリ」という道具が15世紀初頭に使われて初めて、大きな薄い板、が作れるようになったのです。

出所:Virtual Museum 「二人挽き鋸」

 

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

「三谷流構造的やわらか発想法」

⇒バックナンバー一覧