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グローバルM&Aが失敗する理由(3)

松田千恵子 マトリックス株式会社 代表
首都大学東京大学院 社会科学研究科経営学専攻 教授
日本CFO協会 主任研究委員

 グローバルM&Aが失敗する理由――それは多くの場合、買収を行おうとしている企業自身の内部に潜んでいる。前回は、買収対象企業に対して正しくガバナンス能力を発揮できているのかという点を考察した。次に必要なのは、そのガバナンスを支えるプラットフォームである。これには「左脳」のプラットフォーム=経済的な企業価値の向上を目指す仕組みや仕掛けと、「右脳」のプラットフォーム=理念的な企業価値の向上を目指す仕組みや仕掛け、の双方がある。まずは「左脳」から見ていこう。

経営管理のプラットフォームを築く

 左脳のプラットフォームは、経営管理などとも呼ばれる。実は我々、この分野は結構苦手である。戦後数十年、売上と利益だけ見ていればどうにかなってきた。管理会計と言われてもほとんどは原価計算だった。それが突然、「投資に見合ったリスクとリターンを管理せよ」「バランスシートをしっかり見ろ」となっても頭は切り替わらない。要は「企業価値を軸とした管理」が必要であるということなのだが、こうした投資家的発想自体、事業会社の方々はあまり好きではない。しかし、事業を複数持ち、しかもグローバルM&Aまでこなそうという企業であれば、事業のポートフォリオマネジメントを投資家的な視点と知見をもとに行うことは、本社の役割のひとつとして必須である。

 やるべきことはそれほど大したことではない。P-各事業の将来予測を行い、将来到達すべき目標の妥当性を検証し、投資に値する事業を選択する。D-選んだ事業に関し、事業の遂行者が要求する経営資源の配分(投資)を、決められた基準で判断して実行する。C-投資の結果を、当初の目標に照らして評価する。A-遂行者に対して然るべきフィードバックを行う。言ってみればこれだけだ。

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