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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

オバマ政権「バッドバンク構想」の実効性が疑問視される理由

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第69回】 2009年3月27日
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 3月23日。ニューヨーク株式市場で、ダウ工業株(30種)平均が前週末比497ドル48セント高と史上5番目の急騰を演じた。終値も、2009年に入ってからの最高値(7775ドル86セント)を記録した。

 この、時ならぬ急騰劇の原動力になったのが、ようやく全容の公表に漕ぎ着けた米国のバッドバンク構想だ。その正式名称を「公共-民間投資プログラム(PPIP)」という。

 PPIPの実態は、経営危機に直面する米銀から不良資産を買い取るための投資ファンドである。そして、ファンドの資金の借り入れに関し、政府機関による信用保証を付加したところが最大のミソだ。PPIPは2月に構想を公表したものの、具体策のとりまとめは難航していた。が、今回、この信用保証を付けることによって、投資マネーを呼びこむことが期待できるようになった。

 米政府では、この構想を発表したガイドナー財務長官がその席上、再三「(このスキームに)自信がある」と胸を張ってみせた。オバマ大統領も最大級の言辞で自画自賛した。そして、米市場はこれを手放しで歓迎、歴史的なダウ平均の急騰となったというのである。

 しかし、俄かには、そんなうまい手があったとは信じ難い。本当に、PPIPには、「100年に1度」と言われた経済危機にピリオドを打つほどの実力があるのだろうか。

融資というレバレッジを
効かせた買い取り策だが

 オバマ大統領は23日、ホワイトハウスで、PPIP構想についてコメントし、

 「(効果に)非常に自信を持っている」
 「(目的は)金融システムを安定させ、銀行融資を再開させること」
 「今後、決定的に重要な意味を持ってくる」
 「脆弱(ぜいじゃく)さも残っているが、正しい方向に進んでいる」

などと強調した。

 PPIPは非常に複雑だが、ガイトナー長官の発言、財務省資料、エコノミスト、アナリストの解説、日米のメディアの報道などを総合すると、

(1)民間と政府からの投資資金に、連邦預金保険公社(FDIC)と連邦準備理事会(FRB)の融資資金を加えて、複数のファンドを組成。まず、ローン債権と証券化商品をあわせて5000億ドルの買い取りを目指す。この買い取り額は最終的に1兆ドルまで拡大される可能性がある

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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