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メディアが煽る「日本礼賛」ムードを中国人はどう見ているのか?

――ジャーナリスト・中島恵

中島 恵 [フリージャーナリスト]
2015年6月4日
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増え続ける「日本礼賛」番組・書籍
中国人はどう思っているのか?

日本にも多くの中国人が住んでいる。かつてなく日中関係が冷え込んだ今、日本のメディアが盛り上げる「日本礼賛」ムードを、中国人はどう見ているのか
Photo:MC_PP-Fotolia.com

 なぜ最近、日本を礼賛するテレビ番組や書籍が多いのか――。

 そう感じているのは、筆者だけだろうか。

 一時期よりは減ってきたような気がするが、「日本礼賛番組」の一例を挙げると、『所さんのニッポンの出番』『世界の日本人妻は見た!』(TBS系)、『Youは何しに日本へ?』(テレビ東京)、『cool japan発掘! カッコいいニッポン』(NHK)をはじめ、他にもたくさんある。

 書籍も同様だ。2010年に大ヒットした『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか?』(PHP研究所)あたりを皮切りに、『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』(講談社)『だから日本は世界から尊敬される』(小学館)『やっぱりすごいよ、日本人』(あさ出版)など、数え切れないほどある。ドイツ、中国、韓国などの外国と日本を比較したものも少なくない。

 普段あまり意識していない日本人でも、テレビや書籍でこれだけ「日本礼讃」が繰り広げられれば、さすがに気になるだろう。

 こうしたムードについて、筆者はふと思った。自分がいつも取材している中国の人々はどう思っているのだろうか、ということだ。言うまでもなく、現在の日中関係は、国家レベルで見れば過去に例がないほど冷え込んでいる。普通に考えれば、多くの中国人はこのムードを快く思っていないはずだ。「日本礼賛」は、中国人の心理にどのような影響を与えているのか。筆者は、それを調べてみたいと思い立った。

 取材を通じて中国人たちの声を拾ってみると、「日本礼讃」ブームの背景と、それを見つめる中国人の意外な本音が見えてきた。

 「来日して25年以上になりますが、最近の日本人を見ていてつくづく感じるのは、すっかり自信を喪失し、余裕がなくなっているということです。こんな日本人の姿を見るのは初めてです」

 仕事で知り合ったこの中国人男性は、今年61歳。中国の文化大革命時代に過酷な生活を余儀なくされたが、運よく日本留学の機会に恵まれ、34歳のときに来日。以来、ずっと日本で働いている。飲み会の席でこう語った彼の表情は、どこか寂しげで、自分の後半生を捧げてきた日本を想う気持ちがひしひしと伝わってくる。日本人である筆者のほうが切なくなり、考え込んでしまった。

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中島 恵[フリージャーナリスト]

なかじま・けい/山梨県生まれ。中国、香港、台湾、韓国など東アジアのビジネス事情、社会事情などを新聞・雑誌などに執筆。著書に『中国人の誤解 日本人の誤解』『中国人エリートは日本人をこう見る』(共に日本経済新聞出版社)などがある。


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