横浜DeNAベイスターズが快進撃を続けている。ペナントシーズンを首位で折り返し、ファンの間からは早くも17年ぶりの優勝を期待する声が聞こえてくる。しかし、好調なのは試合内容だけではない。DeNAが球団運営に乗り出してから3年間で、横浜スタジアムの観客動員数やファンクラブ会員数が急増しているのだ。ファン獲得のためにDeNAが取り組む「極上のおもてなし」とは、いったいどんなものか。徹底したビジネス視点をスポーツに持ち込んだDeNAの戦略は、他のプロスポーツの関係者にとっても参考になるはずだ。その最前線をリポートする。(取材・文/東本由紀子、編集協力/プレスラボ)

3年間で観客動員数42%増?
DeNA参入後の横浜はなぜ元気なのか

快進撃を続ける横浜DeNAベイスターズの本拠地・横浜スタジアム。好調なのは成績ばかりでなく、裏でファンの心もガッチリ掴んでいるようだ Photo:hamazou-Fotolia.com

 過去10年のうち9年はBクラスと、なかなか最下位争いから抜け出せずにいた横浜DeNAベイスターズが、今年は快進撃を続けている。ペナントシーズンを2位の巨人に2ゲーム差をつけ、首位で折り返した。ファンの間からは、早くも「1998年以来17年ぶりの優勝」を期待する声が聞こえてくる。

 しかし、好調なのは試合内容だけではない。DeNAが球団の運営に乗り出してからの3年間で、横浜スタジアムの観客動員数は42%も増加し、ファンクラブの会員数はなんと9倍まで増えているという。しかもこの間の成績は、2012年が最下位の6位、13年と14年が5位と、いずれも振るわなかったにもかかわらず、だ。今年の観客動員数も順調な伸びを見せており、1試合あたりの観客数は現在約2万4000人と、昨年より3000人ほど多い状態で推移しているという。

 ただでさえ、プロ野球の人気が低迷していると言われる昨今、決して強いチームとは言えない横浜DeNAベイスターズが、なぜこれほどまでに人気を集めることができるのだろうか。背景には、従来の球団では考えられなかったような話題性のあるファンサービスや、徹底的なマーケティングに基づいた企業戦略がある。

 今やスポーツと言えども、親会社のビジネス感覚いかんで球団の栄枯盛衰が決まってしまう時代。そんな時代に、ファン獲得のためにDeNAが取り組む「極上のおもてなし」とは、いったいどんなものなのか。それを探ることは、プロ野球に留まらず、他のプロスポーツを運営する関係者にとっても、多いに参考になるはずだ。スポーツビジネスの最前線をリポートする。