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トンデモ人事部が会社を壊す

残業代ゼロ法案が通っても
人事部が変わらなければ意味はない

山口 博
【第24回】 2015年6月16日
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深夜残業手当支払いに
例外はないのか

 一定年収以上の労働者に対して、時間外、深夜、休日労働などの割増賃金支払の適用除外とする、いわゆる「残業代ゼロ法案」が、今国会で再審議されている。過長労働を抑止するために、年間104日の休日、日単位での休憩時間確保、在社時間の上限設定のいずれかの措置をとることも併せて検討され、2016年4月施行を目指している。

深夜残業代を払わない裁量労働制は是か非か。単なる不払いはブラックだが、労使双方が納得できる、よりよい働き方につながる方法もある。ただし、それには人事部が相応の仕事をする「覚悟」が必要だ

 多くの経営者からは、ビジネス状況に応じた働き方の裁量を確保するという点から、一歩前進させる対応としてみられている。

 では、同法案成立前である、現行の労働行政下においては、時間外、深夜、休日労働の割増賃金は、必ず、例外なく支払わなければならないのであろうか。

 この問いに関して、多くの人事担当者は、時間外労働は裁量労働制の適用により、休日労働は振替休日の適用により、時間外割増賃金としては支払わなくてもよい場合があるが、深夜労働の割増賃金は、例外なく支払わなければならないと答えるだろう。

 「深夜労働手当を支払わなくてもよい方法がないでしょうか」。経営者から、こう問われることが多い。そう質問する経営者の大半は、なにも深夜労働手当を支払わずに、社員をこき使って深夜労働させたいと考えているわけではない。そのように考えるのであれば、とうの昔に不払いをしている。

 わざわざ質問してくる経営者は、ビジネス状況に応じた働き方の自由度を確保することがビジネス発展に不可欠だと確信している経営者にほかならない。

 経営者からのこの問いに対して、私は、迷いなく「方法があります」と答える。経営者は、「え、本当ですか」、「実際にあるのですか」、「自社の人事部からはあるはずがないと言われたのですが」と、自ら質問してきたにもかかわらず、驚きの表情をする。

 多くの人は、「深夜労働手当を支払わなくてよい例外などないはずだ」、「労働基準法を知らないのか」、「ブラック企業を指南するとは何事か」と思うかもしれない。しかし、その方法とは、ブラック企業の不法行為でも、労働基準監督署に知られないように抜け駆けしたケースでもない。実際に行われているケースであり、複数の労基署が是認した事例なのである。

 そして、その方法は、人事部の専門家たちにも、ほとんど知られていない、今日の人事部の定説を覆す事例なのである。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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