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父と娘の就活日誌

子どもはきちんと親の姿を見ている
――求められる親の姿勢

楠木 新
【第4回】 2007年11月12日
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 最近発売された新書の中に、就職活動に関する興味ある父親の事例がとり上げられていた。

 彼は、50代半ばの大手情報サービス会社の部長職。有名私大4年生の息子に、「回ってみたら?」と著名な企業数社のメモを渡した。息子は、薦められるままに5社ほどの面接を受けたが、いずれも不合格。意欲を失い、途中で就職活動をしなくなった。それを見た父親は、立ちすくみ、それ以上何もできなくなる。結果的には、母親が、自分に合った仕事を探すのを目的とするNPOに息子を参加させ、1年留年の後、内定を得た。なぜ父親は、戸惑い、立ち往生したのか。

 勝手な推測をすれば、この父親にとっては、いわゆる一流企業に入り、高い役職を得ることが、幸せのモデルであり、それ以外の選択肢は頭になかったのだろう。そこで当然のごとく、息子にもモデルに該当する企業を薦めた。同時に彼はそのモデルに強く依存していたために、就活をしなくなった息子の姿を見て、どうしてよいかわからなくなったのではないか。

 先日、信用金庫の支店長から「ユーモアコンサルタント」に転じた知人の矢野宗宏(51)氏に会った。彼は、迷った末に、支店長を自ら辞めて、昔から好きだった「笑い」を生かせる道に活路を見出した。46歳の時である。現在は、前職を上回る年収を稼いでいる。

 彼の息子は、大学3年生。マスコミ志望でアナウンサーを目指しているそうだ。矢野氏に「支店長職を続けていたら、どのようにアドバイスしたと思いますか?」と尋ねると「おそらく息子には『信用金庫は、辞めておけ』というぐらいしか言えなかったでしょう。組織の中の自分を見つめ直したので、いまは息子に語り、応援できる」と話してくれた。

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楠木 新

金融機関に勤務するかたわら、「働く意味」をテーマに執筆、講演などに取り組む。12万部を超えるベストセラーになった『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『就職に勝つ!わが子を失敗させない「会社選び」』(ダイヤモンド社)など著書多数。近著に『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』(東洋経済新報社)がある。


父と娘の就活日誌

働く価値観が多様化する中、超売り手市場の環境下で、大学生はどのように企業選択をしていくのか。就職活動に臨む大学3年生の娘と父とのリアルな対話を通して、実状に迫る。

「父と娘の就活日誌」

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