個人型DCは「退職金のように受け取る」か
「年金のように受け取る」かで税制が異なる
「投資の儲けの足を引っ張るのは“手数料と税金”」と言われる。効率的に運用益を手にするには、手数料が安く、非課税など税金のメリットのある商品を選ぶべきというのが投資の鉄則だ。
前回、「国が旗を振る“じぶん年金作り”制度は利用価値があるか」というテーマで取り上げた「個人型DC(確定拠出年金)」は、民間の金融商品に比べ節税メリットが大きい制度であるため、老後資金作りをするなら最優先に検討したい。
節税メリットは3つあると言われている。
まず、掛金は全額所得控除の対象となり、その年の所得税と翌年の住民税が軽減される(節税メリット①)。貯蓄や投資をして税金が安くなるとは、うれしい制度だ。運用期間中に発生した収益は非課税になる特典もある(節税メリット②)。この2つは文句なしにメリットと言える。
3つめとして「受取時にかかる税金にも節税の仕組みがある」と言われるが、私は受取時の税制は必ずしも節税メリットと言い切れないと思っている。将来、老後資金として受け取るときに「え~、こんなに税金かかるって聞いてない!」といった事態にならないように、課税の仕組みを知っておきたい。
個人型DCの受け取り時の税金は、一時金で受け取るなら「退職所得」扱い、年金受取なら公的年金のように「公的年金等控除」が使える。問題点を知るには2つの課税の仕組みを知る必要があるので、ちょっと面倒に感じるかもしれないが、説明におつきあいいただきたい。
まずは「退職所得控除」と
「公的年金等控除」の仕組みを理解!
退職金一時金にかかる税金は、勤続年数に応じた非課税枠が設けられている。最初の20年間は1年あたり40万円、21年目からは1年あたり70万円。これを積み上げた金額が退職所得控除で、みなし経費として退職金収入から差し引くことができる。これが退職所得。それに2分の1かけた金額に対し所得税と住民税がかかる仕組みだ。ケースで見てみよう。そのほうがわかりやすい。