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保田隆明 大学院発! 経済・金融ニュースの読み方

アデランス&ユニゾンの資本事業提携に異議あり!

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第24回】 2009年4月22日
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 ユニゾンによるアデランスへのTOBに関して、メディアでは友好的な報道が多い。悪役スティールパートナーズに対してのホワイトナイト登場というトーンだ。ユニゾンの今回のスキームはある意味の株価操縦であるという指摘はザイ・オンラインでしたところであるが、こちらのコラムでは、当該スキームでさらりと組み込まれている金庫株の処遇を中心に、スキームの是非を問うてみたい。

金庫株は誰がためのもの?

 ユニゾン&アデランス経営陣連合は、次の株主総会で彼らが提案する取締役候補者が可決されれば、その後ユニゾンによるアデランス株へのTOBを実施すると発表している。そして、そのTOBには、アデランスが保有する7%強の金庫株が応募する予定だと書かれている。

 アデランスの株主構成を確認すると、この金庫株というのは第4位の立派な大株主であることが分かる。今回のユニゾン&アデランス経営陣連合軍のスキームには、大株主のスティールパートナーズは反対の姿勢を示しており、少なくともスティールにとっては金庫株をこのように経営陣の都合のいいように処分されたのではたまったものではないはずだ。

 そもそも自社株買いとは、株数を減らすことによりすべての株主の一株当たり利益を増加させることにその目的が存在する。しかし、今回のように自社株買いで吸い上げた自己株を経営陣にとっての都合のいい先に割り当てるのは、半ば経営陣の保身のために行われる行為であり、決してすべての株主にとって歓迎できるものではないだろう。

 自社株買いを行った時点で、理論的には発行済み株式数は減少する。よって金庫株を再び放出するのは、実質的に新株発行と同じである。それを誰か特定の人(ユニゾン)に割り当てるのであれば、それは第三者割当増資と何ら変わりない。

金庫株のTOBへの応募は
実質的に第三者割当増資ではないか

 第三者割当増資に関しては、現状は取締役会の決議のみで実施できてしまうため、東証も問題視しており、「上場制度整備懇談会」でそのあり方や是非について議論してきたところである。そして、新聞報道によると来月末あたりに結論が出そうとのことだ。基本的な考え方としては、「大規模な新株発行による第三者割当増資で、不利益を受ける既存株主の権利保護を強化する内容となっている」(4月16日毎日新聞)とのことである。

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
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仕事と両立しながら大学院に通い始めた保田隆明が、大学院で学ぶからこそ見えてきた新しい視点で、世の中の「経済・金融ニュース」をわかりやすく解説する。

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