「目標」であるものが
「目的」化すると問題が起こる

 東芝の不適切会計が大きな問題になっています。利益をかさ上げするために1500億円ほどの経費計上などを遅らせたということです。そして、残念ながらこのような事件が何度も起こっています。このようなことが起こるたびに、私は「目的」と「目標」が混在したことが原因だろうと考えています。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 これは、粉飾だけのことではありません。働く人が活き活きと働いていなかったり、本来もっと実力が出るような会社がそうでない場合にも、この「目的」と「目標」の混在が起こっていたり、本来の「目的」が忘れられているような場合も少なくないのです。本来目標であるものが、目的化したときにさまざまな問題が起こるのです。

 目的と目標は、次のように区別することができます。

「目的」=最終的に行きつくところ、存在意義
「目標」=目的に至るまでの通過点、具体的な評価、目的達成のための手段

 もう少し具体的に話したほうが分かりやすいかもしれませんね。私は経営コンサルタントですが、経営コンサルタント小宮一慶の「目的=存在意義」は、「関わる方たちに成功していただくこと」です。これは別に格好良いことを言っているわけではなく、関わる方たち、私のお客さまや、私の本、あるいはこの連載を含めた読者の方たちが、私たちの関わりによって成功されれば、私や私の会社(小宮コンサルタンツ)の成功につながるからです。

 そして、私は、単著で100冊本を書くという「目標」をもっていましたが、こちらの方はおかげさまで昨年に達成しました。しかし、目標を達成したからと言って、関わる方たちに成功していただくという目的は、私が現役で働いている限りは存在し続けるのです。

 それでは、皆さんの会社の目的は何でしょう?