ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
金融市場異論百出

欧州が“不思議の国”へ迷い込む
マイナス金利が招く逆転現象

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2015年8月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
預金のマイナス金利を嫌って、スイスの機関投資家がタンス預金ならぬ“金庫預金”し始めている1000スイスフラン札 Photo:REUTERS/アフロ

 マイナス金利政策を中央銀行が始めると「逆転現象」が多々発生する。ユーロ圏、スイス、デンマーク、スウェーデンでは、多くの大手企業や機関投資家が、預金をすると逆に金利を徴求されている。

 それらの地域では、中銀が銀行の超過準備(銀行が中銀へ預けた金額のうち、制度の義務を超える資金)にマイナス金利を課しているため、銀行はそのコストを顧客に転嫁している。スイスの金融大手UBSは最大3%のマイナス金利を大口預金に課すと先日発表した(新金融規制による流動性預金のコスト上昇も原因の一つ)。

 今のところは、個人の小口預金はマイナス金利適用外としている銀行が大半だ。スウェーデンの大手行幹部は、「個人の預金から金利を徴求しようとしても、理解は得られない」と話している。しかし、マイナス金利政策が長期化したら、どうなるか分からない。

 デンマークでは、銀行間短期金利に連動するローン金利が一部マイナスになった。お金を借りる人が利息をもらえるという「逆転現象」である。ある女性起業家が大手行に融資を申し込んだら、借入金利はマイナス0.0172%だった。1カ月に7クローネの利息をもらえる計算だそうだ(英「フィナンシャル・タイムズ」紙)。

 また、同じくデンマークでは、短期金利連動型の一部の住宅ローン金利が計算上マイナスとなり、銀行と借り手の間で深刻な混乱が生じた。このため、デンマークの商務成長省は作業部会を立ち上げ、その答申が5月に発表された。

1
nextpage

今週の週刊ダイヤモンド

2016年10月1日号 定価710円(税込)

特集 特集 凄いネスレ 世界を牛耳る 食の帝国

違いが分かる食の帝国を徹底解明!

【特集2】
2017年 新卒就職戦線総括
今年も「超売り手市場」が継続 選考解禁前倒しも競争は激化

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


金融市場異論百出

株、為替のように金融市場が大きく動くことは多くないが、金利の動向は重要だ。日本を代表する日銀ウォッチャーが金融政策の動向を分析、金融政策の動向を予測する。

「金融市場異論百出」

⇒バックナンバー一覧