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石川和男の霞が関政策総研

原発存否の判断は丸投げをやめ、政治責任で行え

活断層の評価で判明した規制委の矛盾とあきれた強弁

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第51回】 2015年8月10日
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規制委・規制庁は活断層を
“悪用”しているのではないか

活断層に関する判断が原発の存否を左右するが……。写真は敦賀原子力発電所

 今、原子力発電所の存否の行方は、原子力規制委員会(とその事務局である原子力規制庁)による、新規制基準の適合性審査への合否に委ねられている。そうした規制体系それ自体は、何らおかしなことではない。

 私が危惧しているのは、規制委・規制庁は、ひょっとすると、“政治ゲーム感覚”なのではないか──つまり、幾つかの既設原発を強引に廃炉させる実績を作るために、“活断層”を悪用しようとしているのではないか──ということだ。

 だとすれば、これは規制委・規制庁が掲げる活動原則の第一「何ものにもとらわれず、科学的・技術的な見地から、独立して意思決定を行う」ではない。こうした疑念を持たれないよう、規制委・規制庁が規制運用を自ら改善していくか、さもなければ規制委・規制庁の設置の根拠となっている原子力規制委員会設置法を国会が改正することが必須である。

 このままでは、運転継続にせよ、廃炉(これには40年以上を要するだろう)にせよ、今後長期の安全対策への投資能力が萎えてしまう。これでは、規制委・規制庁が組織理念として掲げる「我が国の原子力規制組織に対する国内外の信頼回復を図り、国民の安全を最優先に、原子力の安全管理を立て直し、真の安全文化を確立」することはできないだろう。

 今、活断層によってその存否が問われている既設原発は、日本原子力発電・敦賀原発、東北電力・東通原発、北陸電力・志賀原発の3ヵ所。このうち日本原電・敦賀原発を例として、今の規制委・規制庁の規制運用が矛盾に満ちていると私が思ってしまう直近の話を以下で挙げる。

 今年6月12日の原子力規制庁定例ブリーフィングの議事録を読み、映像を視聴していたところ、非常に違和感のあるやりとりがあった(※参照:議事録動画)。

 その部分を抜粋すると、次の通りである(註:「原電」とは日本原子力発電を、「敦賀」とは原電・敦賀原子力発電所をそれぞれ指す)。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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