「効果は限定的」との見方が大勢
追加金融緩和策は誰のため?
3月17日、日本銀行は金融政策決定会合で、期間3ヵ月までの資金を0.10%で供給する上限を、従来の10兆円から20兆円に拡大することを決めた。
これは、日銀が追加的に金融政策を緩和することによって、わが国のデフレ傾向に歯止めをかけることを目的として取られた措置だ。
ただ、今回の措置の効果については、「限定的」との見方が有力だ。確かに、為替市場などで金融緩和が長期化するとの思惑が高まり、短期的に円高傾向に歯止めをかける効果は過去にあった。
しかし、肝心要のデフレ阻止については、その効果に大きな期待を持つことは禁物だ。その理由を説明しよう。
現在、我が国の経済は、約30兆円にも及ぶ大きなデフレギャップ(供給が需要を上回っている部分)を抱えている。つまり、モノを売りたいという人が、買いたいという人よりも約30兆円分だけ多いのである。
そのデフレギャップを残したまま、日銀がいくら潤沢な資金供給を続けたところで、そう簡単にモノの値段が上昇し始めるとは思えない。それは、日銀も十分わかっているはずだ。
それにもかかわらず、日銀が追加策を取ったことについて、金融専門家の一部からは、「効果が限定的な政策であっても実行するのは、民主党政権との歩調を合わせることが最も重要なポイントだから」との指摘も出ている。
現在の状況を有体に言えば、政策が手詰まり状況にある民主党政権が、デフレギャップを埋めることができずに、日銀に対して「デフレは日銀の責任だ。何とかしてくれ」と要請している構図がある。
わが国のデフレ問題は、企業サイドの供給構造など、複雑な問題を孕んでいる。今の民主党政権のようなスタンスで、わが国のデフレが収まることは考えにくい。これからも、デフレが続くと見るべきだろう。