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吉田恒のデータが語る為替の法則

ドル安に強く、ドル高に弱いクロス円だが
欧州通貨と豪ドルでは投資戦略が異なる!

吉田 恒
【第72回】 2010年3月24日
著者・コラム紹介バックナンバー

 今回は、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の短期・中期予想を考えてみたいと思います。

 キーワードは、「米ドル安に強く、米ドル高に弱いクロス円」ということです。

 下のグラフは、米ドルの総合力を示す実効相場です。

 これをみると、米ドル実効相場は、昨年3月初めに天井をつけ、昨年12月初めに底打ちし、そして、今年2月初めに当面の天井を打った形になっています。

 言い換えれば、昨年3月から12月までが米ドル安で、昨年12月から今年2月までが米ドル高だったと言えるでしょう。

 それでは、その間に、個人投資家を中心として、日本国内の投資家の間で最も人気の高い豪ドル/円がどのように動いたかを上のチャートで見てみましょう。

 豪ドルは対円で、昨年2月初めから今年1月初めにかけて、56円から85円へと約50%もの大幅上昇を達成していました。半面、今年1月初めから2月初めにかけては、わずか1ヵ月の間に85円から77円まで10%の反落となっています。

クロス円は「米ドル安には強く、
米ドル高には弱い」

 これを最初に見た米ドル実効相場の動きと重ねてみましょう。

 そうすると、豪ドル高は、米ドル安が始まる1ヵ月前からスタートし、米ドル安終了の1ヵ月後に終わっていました。

 つまり、米ドル安よりも豪ドル高のほうが少し長かったということになりますが、米ドル安局面において、豪ドルはおおむね50%もの大幅高となっていたことがわかるでしょう。

 一方で、年末年始から2月にかけて米ドル高となった局面では、豪ドルは対円で最大10%の反落となっていました。

 このように見てくると、豪ドル/円のようなクロス円には、「米ドル安には強く、米ドル高には弱い」といった構図が成り立つと言えるでしょう。

 なぜ、このような構図になるかと言えば、一般的に、リスク選好投資は、低金利の米ドルを売り、より利回りの高い高金利通貨、資源国通貨、新興国通貨へと資金が流れるため、リスク選好は「米ドル安・高金利通貨高」、リスク回避は「米ドル高・高金利通貨安」と説明されます。

 その意味では、「クロス円は米ドル安に強く、米ドル高に弱い」というのは、基本的につじつまが合うでしょう。

 従って、大きな意味では、クロス円相場は米ドルの見通し次第ということになりますが、その米ドルに、今年から来年にかけて、数ヵ月以上もの継続的な米ドル高局面がやってきそうなのです。

 これまでもこのコラムで何度かご紹介したように、米国の利上げと米ドルとの間には、「利上げ開始前の米ドル高」といったパターンがあって、それが経験的に、3~6ヵ月続きそうなのです(「2010年の注目点は米利上げとインフレ。波乱シナリオなら60~70円への暴落も!」を参照)。

 前述のように、年末年始からの米ドル高が、たった2ヵ月あまり続いただけで、代表的なクロス円である豪ドル/円は10%の反落となりました。

 それならば、米ドル高が3~6ヵ月も続くと、豪ドルの下落リスクがより一層拡大する可能性もあるのではないでしょうか?

 ヘッジファンドなど代表的な投機筋の取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、豪ドルのネット・ロング(買い持ち)は6万枚前後へと拡大してきました。

 これは経験的に「買われ過ぎ」警戒域で、豪ドルはそもそも、すでにかなりの「買われ過ぎ」で、かつ「上がり過ぎ」要注意の段階に入ってきていると言えるでしょう。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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