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土地バブルの背後にある
中国地方自治体と国営企業の
持ちつ持たれつ

2010年3月25日
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中国の不動価格高騰は地方にも及んでいる。売り手は地方自治体、買い手は国営企業。この構図が価格の上昇を支えている。ついに、中国当局も公営企業の土地取引を規制すると表明。だが、バブルの顛末はいまだ見えない。(北京在住ジャーナリスト・陳言)

 広東省深セン市の羅湖区から福田区を経由して、南山区まで行く大通りの両側には、世界でもっとも現代的な建物が、ぎっしり並んでいる。隣の香港と比べて、ビル自体はそれほど高くないが、外観はより変化に富む。道路の中央隔離ゾーンの植物にしても、道に沿って赤い花を咲かせている並木も、この都市をひとつ大きな花園にしている。

 15年前に、30万元(1元=約13円)の現金を懐にして、1人で湖南省から深センにやってきた林(36歳)は、今もタクシーを運転している。「15年前の30万元は、小さな工場を設立できる金額だった。でも、僕はタクシー会社に金を預けて、タクシードライバーになった」。林は、深センの道を知り尽くしている。ただし、15年前にその30万元で企業を興し、さもなければ200平米ぐらいの住宅でも買ったら、「今は、金持ちになっているはずだった」と、かなり後悔をめいた話しを続けた。

 この大通りには1平米2万元以下の住宅なんかはすでにない。どこかの学者の話しでは、香港なみの不動産価格になる可能性さえあるという。本当に香港なみの値段なら1平米が6万元で、200平米と言えば、少なくとも1200万元の値が付く。でも林は、今は残価が10万元もないVWで、中国のいろんなところからやってきたビジネスマンや観光客を、送り迎えしているだけである。

 十数年の間に不動産価格は数十倍も上がった。「これから100倍以上になるのではないか」と林はつぶやく。本当にそうなるかもしれない。15年前にはまだ起業して何かやれたが、今はもう金持ちになるには、土地投機をする以外にはないと、林は自分に言い聞かせている。

富を増やす手段が不動産に集中する
中国特有の社会事情

 専門家が言っているように、深センの不動産価格が香港と肩を並べるという事態は、本当になるかもしれない。なぜなら、地方財政が土地売買に大きく依存しているという事情があり、そのように結論付けられるのだ。

 中国の沿海都市ではアメリカ、ヨーロッパへの輸出を視野に入れて、数多くの企業が設立されている。2008年末のアメリカ発金融危機の影響を受けて、09年に輸出量は大きくダウンし、今も完全に回復したわけではない。しかし、中国では不況感は感じられない。中国政府の4兆元の経済刺激対策が功を奏して、中国のGDPをダウンさせなかったというよりも、実は土地、住宅への6兆元以上の投資によって、経済は息を吹き返したのだ。

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