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佐藤可士和の打ち合わせ
【第12回】 2015年8月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
佐藤可士和 [アートディレクター]

4〜5人での打ち合わせでも
ターゲットを定めて発言せよ

打ち合わせはあまりにも身近で、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしています。そして、たくさんの打ち合わせの経験からいかにそれが大切なものか『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)で述べています。
打ち合わせで重視されるのは「何を質問するか」です。この質問の質が、打ち合わせをスムーズに進められるかを決していきます。 
今回は、打ち合わせで投げかけるべき、質問のポイントについてご紹介します。

「何を質問するか」で
打ち合わせの深さが決まる

 これまで打ち合わせのキーとなるアプローチ方法を紹介してきました。そして、今回は質問の重要性に迫っていきたいと思います。

打ち合わせを盛り上げるためにも「問いかけ」は大切です。質問を重ねていくことで、場は活性化していきます。「どう思う?」「いいと思うけど、そっちはどう?」。こんなふうに、問いかけることで、場を盛り上げていくわけです。

 また、課題がまだぼんやりしているときなどに、クライアントに対して繰り返し行うのも、やはり質問です。質問をすることによって、話は前に進んでいく、といっても過言ではありません。
 逆に質問のポイントがずれていたりすると、話が前に進まなかったり、おかしな方向に行ってしまいます。質問というのは、打ち合わせのナビゲーションの役割を果たします。

 僕はプロジェクトがスタートしたばかりの打ち合わせでは、どんどん質問するようにします。また、コンセプトを作り上げていくような打ち合わせでも、「これでどうですか」「こんなイメージですか」など、どんどん聞いていく。そうしていくことで、自分の中のイメージはより明確になっていきます。
 もとより、課題の答えというのは、クライアントの中にあることが少なくないのです。それを引き出していくのが、まさに質問です。
質問することは、「正解」に近づいていく重要なヒントをもたらしてくれるのです。

 したがって、とりわけプロジェクトの初期においては、事前にどんなことを聞くべきなのか、ある程度、質問をイメージしておかなければいけません。それを、実際の打ち合わせでぶつけていくのです。
 ときどき、「質問を考えるのが難しい」という声を耳にすることがあるのですが、簡単な情報のチェックから、ハイレベルなコンセプトの話まで、問題意識があれば、質問はすぐに出てくるものです。

 難しく考える必要はありません。自分の仕事をよりよくしていく、という問題意識で問いかけを考えてみる。そうすれば、質問力は磨かれていくのです。

<POINT>
打ち合わせポイント(42)問いかけることで打ち合わせは活性化していく
打ち合わせポイント(43)問題意識があれば、質問は自然と出てくるもの

「誰に対して話しかけるのか」を
意識する

佐藤可士和(さとうかしわ)
博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。

 僕は打ち合わせの際に、誰に話しかけるのかを強く意識するようにしています。

 打ち合わせには、4、5人の打ち合わせがあったり、10人を超えるような大きな打ち合わせがあったりもしますが、漠然と全員に話しかけることはしません。

話しかけるのは、その打ち合わせのキーマンです。キーマンに向かって話しかけることで、「あ、自分に言っているんだな」とキーマンは感じることができる。一番伝えたいキーマンに、しっかり伝えられるということです。

 同時に、キーマンの存在は打ち合わせの出席者も意識していますから、キーマンが聞くと、みんなも聞くのです。キーマンがうなずくと、みんなもうなずく

 また、全員一律に語るのと違い、誰に語るのかが頭の中ではっきりしていれば、自分の発言はシャープなものになります。誰に対してしゃべっているかを意識するからこそ、発言はシャープになるのです。

 一方、とりわけイメージを出し合う場などでは、キーマンと同時に意識する打ち合わせの出席者がいます。それは「自分の意見に賛同してくれる人」です。
 打ち合わせの出席者の数が多く、打ち合わせの流れを作っていくためにも、自分の意見に対して賛同者が欲しい、というときがあります。そういうときは、明らかに賛同してくれている相手に対して、話しかけるのです。
 僕はこれを「味方にパスを出す」と呼んでいるのですが、賛同してくれる味方に話しかけることで、フォローしてもらえることが多いのです。

 また、イメージを出し合う中で、視点をはっきりさせたいときに、特定の誰かに「パスを出す」こともあります。
 例えば、若者視点で話を聞いてみたいときは、若い人にパスを出す。経営者が出席するような打ち合わせでは、どうしても経営者視点になりがちですから、それを壊す意味でも、違う視点を持つ人にパスを出すのです。
 営業にパスを出したり、クリエイティブにパスを出したり、開発者にパスを出したり。そうすることで、営業視点、クリエイティブ視点、開発視点と、みんなの視点が広がる。

 サッカーもそうですが、漠然とボールを蹴っても前には進んで行きません。誰に向けてパスを出すのかをはっきりさせたり、いろんな人にパスを出すことでフィールド全体を使ってサッカーをすることができる。これが、打ち合わせのレベルを高めるのです。

 打ち合わせによっては、誰に何を伝えなければいけないか、がはっきりしていることがあります。例えば、担当者が経営陣に自分たちの思いをしっかり伝えて、方向付けをしたい、といったケース。
 こういうときは、僕は担当者の隣に座るようにします。隣に座って、経営陣に一緒にプレゼンテーションするような空気を作るのです。横に座るのと、対面に座るのとでは、印象は大きく異なります。座る位置も、大きな意味を持つのです。

 次回は、打ち合わせのポイントについてさらに迫っていきます!
 打ち合わせの際に、ついつい相手の話に聞き入ってしまう……という方も少なくないのではないでしょうか? そういう方に向けて、聞きながら考えるということを伝授します。

<POINT>
打ち合わせポイント(44)打ち合わせのキーマン、意思決定権者に話しかける
打ち合わせポイント(45)自分の意見に対して賛同してくれる人を意識する
打ち合わせポイント(46)特定の誰かに「パスを出す」ことで打ち合わせを組み立てていく
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佐藤可士和(さとうかしわ) [アートディレクター]

博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。


佐藤可士和の打ち合わせ

 打ち合わせはあまりにも身近で、これまで何の課題ももたれずに、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしてきました。その中で、いかに効果的に打ち合わせをするかが、仕事の肝だと考えるようになったといいます。  拙著「佐藤可士和の打ち合わせ」(ダイヤモンド社)には、その打ち合わせ術が存分に盛り込まれています。今回の連載では、そのエッセンスをお伝えしていきます。  打ち合わせを制する者は仕事を制する! あなたも是非打ち合わせマスターになってください。

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