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格差社会の中心で友愛を叫ぶ

じつは派遣より悲惨!?
“ブラック化”する外食・小売チェーンの正社員たち

西川敦子 [フリーライター]
【第16回】 2010年4月9日
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 “交通事故を引き起こす社員がやたらと多い”。

 これが「外食産業の裏側」の管理人で、大手外食チェーンで働く大塚賢児さん(仮名・30代)の率直な感想だ。疲労と睡眠不足でハンドル操作を誤るのだろうか。車が全損するほどの大きな事故もまれではないそうだ。

 社員の悲劇はそれだけにとどまらない。

 「寝床から起き上がれない」と電話をかけてきたきり、退職する社員。接客中に倒れる社員。突然、失踪してしまう社員。

 今までに大勢の同僚がこうして職場から消えて行った。

 大塚さん自身、危うい場面を何度も経験している。運転中、信号待ちの間に猛烈な睡魔が襲ってくることは数知れず。39度の熱に浮かされても仕事を休むことはできない。

 “身近で格安”というイメージのある外食・小売チェーン。だがその裏では、一部の企業で過重労働問題が多発している、という声がある。

 チェーン展開企業に蔓延する“ブラック化”について、現場に聞いてみた。

非正規社員より悲惨!?
“ブラックチェーン”の正社員たち

 22年前からさまざまな労働相談を取り扱っている、NPO法人労働相談センターの須田光照さんはこう説明する。

 「リーマンショック以降、相談件数は激増しています。昨年は5027件と過去最高レベルに達しました。意外かもしれませんが、目立ったのは正社員からの相談ですね。非正規社員を上回り、過半数となりました。内容は、解雇問題や長時間労働、パワハラやセクハラなどなど。

 非正規社員の不安定雇用が問題になっていますが、正社員といえど、けっして安定はしていないということです。こうした相談者のうち、とくに多かったのが居酒屋やファミレスといった飲食店チェーンやアパレルチェーンの社員でした」

 たしかに最近も、「日本マクドナルド」「すかいらーく」「グルメ杵屋」などの社員が過労死認定されるなど、チェーン業態における問題が明るみに出ている。

 ほかにも居酒屋チェーン店店長の急性心筋梗塞が労災認定された「国・北大阪労基署(マルシェ事件)」、ファミレスのもと支配人が過労の末、寝たきりとなり、レストランを経営する「康正産業」が損害賠償を命じられた事件など、いわゆる“名ばかり店長”の問題が後を絶たない。

 なぜ、チェーン店店長や社員は過重労働に苦しむ羽目となるのだろうか。

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西川敦子 [フリーライター]

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。


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