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週刊・上杉隆

「たちあがれ日本」を持て囃す「文藝春秋」が失った健全なるジャーナリズム

上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]
【第122回】 2010年4月15日
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 新党騒動で永田町が喧しい。

 「たちあがれ日本」の結党に続いて、舛添要一自民党参議院議員も、橋下徹大阪府知事、東国原英夫宮崎県知事らと連携する形での新党結成を模索しているという。山田宏杉並区長、中田宏元横浜市長の二人も、国政をにらんだ首長連合を作ろうとしている。

 そんなニュースが流れるが、世論は一向に盛り上がらない。それもそのはず、本コラムでも再三指摘しているように、野党から新党を目指す行為は、それが純粋な政治行動ではなく、単に自身の延命のための脱党行為にしか映らないからだ。

 さらに有権者の感じるそうした胡散臭さにメディアが鈍感であることも、新党結成を目指す政治家たちの勘違いを助長させている要素であることも指摘せざるをえない。

 報じる側の政治記者たちの多くは、55年体制の癖が染み付いたままである。自民党が下野しているにもかかわらず、その意味を忘れてしまい、政治的にインパクトの薄い野党の政治家の動きをさも重大であるかのように扱ってしまっている。

 これも繰り返してきたことだが、与党には求心力、野党には遠心力が働くものだ。だから、現在の自民党の分裂騒動はあらかじめ予見できたものだし、大騒ぎするほどのものでもないのだ。

 にもかかわらず、新聞・テレビは相変わらずだし、さらには在野精神を是としてきたはずの雑誌の中にも、そうした政治運動から距離を置くどころか、自ら進んで巻き込まれてしまっているものまで出現している。

一方の政治的意見ばかり
扱うようになった文春の変質

 「文藝春秋」は、時の権力と対峙するという点において筆頭格のメディアであった。そこでは、さまざまな価値観を認め、自由な言論の場を提供しようという健全な精神に溢れていた。権力を脅かす役割を担う一方で、その権力側にも反論権も用意し、ひとつの雑誌の中で論争の舞台を作り上げるという懐の深い自由闊達さが「文藝春秋」の特徴であったはずだ。少なくとも執筆者のひとりであった筆者はそう感じていた。

 だが、最近の「文藝春秋」はそうした部分で変質したと指摘せざるを得ない。

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上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著) 『放課後ゴルフ倶楽部』 『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)  『有事対応コミュニケーション力』(共著) 『国家の恥 一億総洗脳化の真実』 『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』 『大手メディアが隠す ニュースにならなかったあぶない真実』


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