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小宮一慶の週末経営塾

できるリーダーは「肩書き」でなく「人望」で部下を動かす

小宮一慶
【第23回】 2015年10月3日
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「社長」という肩書は
「役割」

 「社長」や「取締役」という肩書きは、「役割」です。人間として偉いから、社長や役員をしているわけではありません。会社には色々な役割の人がいて、ある人が「社長」や「取締役」という役割を担っているということなのです。 

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 他の人より高い給料をもらえているのは、その責任の重さ故です。それだけです。それを忘れて、「社長」という肩書きを使って人を動かそうとすると、かえって人はついてこなくなります。

 しかし一方で、人は肩書きで案外簡単に動くところもあります。私は講演会で1時間くらい話をし、お客さまが疲れてきた頃に、「ちょっと皆さん、右手を挙げてくれませんか」とお願いすることがあります。すると、数百人のお客さまがいらしても、大体は手を挙げてくれるものです。そこで、一番前にいる人にこう尋ねます。「なぜ、右手を挙げたのですか?」。

 すると、ほとんどの場合、お客さまはきょとんとされるのです。本人にしてみれば「あなたが手を挙げろと言ったからじゃないか」と思うでしょうし、当然そのようにそうおっしゃいます。

 意地悪な質問をして申し訳なかったとは思いますが、それでは、もし私がその講演会場の近くの駅の改札を出た所で同じように「皆さん、右手を挙げてくれませんか」と大声で怒鳴っていたら、一体どうなるでしょうか? 誰も手など挙げてくれないはずです。ところが、講演会の会場であれば、誰もが私の言う通りに手を挙げてくれます。

 なぜ、この違いが起こるのでしょうか?

 私が「手を挙げてください」と言ったから挙げた、というのは、正しいけれど、ある意味では間違っています。私がそう言うからその通りにするというなら、駅の改札を出てくる人たちも手を挙げてくれるはずなのです。でも、実際はそうではない。

 つまり、講演会に来てくださる方たちが、私の言葉通りに右手を挙げてくれるのは、私がその場の講師だからです。「講師」という肩書きがあるからに他なりません。しかし、駅の改札の前では、私はただのおじさんです。「右手を挙げてください」と叫んでいたら、明らかに変なおじさんなのです。そして、変なおじさんの言うことなど誰も聞きません。

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小宮一慶

京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、日本福祉サービス (現、セントケア)を経て独立し現職。名古屋大学客員教授(平成26年度後期)。企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」を元に、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上講演を行う。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー21)など著書は100冊を超え、現在も経済紙等に連載を抱える。


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