ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
シンプルに考える
【第37回】 2015年10月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
森川亮

【森川亮×安藤美冬 特別対談】(上)
「このままでいい?」20代のモヤモヤが自分を作る

1
nextpage

 日本テレビ、ソニーを経て、LINE(株)CEOを退任後、動画メディア「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮さんと、集英社を飛び出してフリーとして「新しい働き方」を追求する安藤美冬さんの対談が実現した。おふたりの共通点は、20代のころに「このままでいいのか……?」とモヤモヤ悩み続けたこと。どのように、その思いにケリをつけ、自分らしい生き方を手に入れたのか?お二人の著作『シンプルに考える』(森川亮、ダイヤモンド社)、『冒険に出よう』(安藤美冬、ディスカバー21)をもとに、語り合っていただいた。(構成:田中裕子)

ひたすらモヤモヤ悩んだ20代。
だからこそ、いまの自分がいる

安藤美冬さん(以下、安藤)『シンプルに考える』を読んで驚いたのですが、森川さんは新卒で入社した日本テレビ時代、3回も辞表を出されたそうですね。

森川亮さん(以下、森川) そうなんです。番組制作に関わりたくて入社したのに、システム部門に配属されたんです。しかも財務システム。完全な「裏方」です。「なぜ、自分だけ……」と落ち込みました。ただ、当時の上司が「3年経ったら異動させてくれる」というので、コンピュータについて本格的に学んで3年間ものすごくがんばった。それなのに、3年経っても異動にならないから1回目の辞表を出したら、「もう3年だけがんばれ」と言われて……。

安藤 きっと、その部署で必要な戦力になってしまったんですね。

1967年生まれ。筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。コンピュータシステム部門に配属され、多数の新規事業立ち上げに携わる。2000年にソニー入社。ブロードバンド事業を展開するジョイントベンチャーを成功に導く。03年にハンゲーム・ジャパン(株)(現LINE(株))入社。07年に同社の代表取締役社長に就任。15年3月にLINE(株)代表取締役社長を退任し、顧問に就任。同年4月、動画メディアを運営するC Channel(株)を設立、代表取締役に就任。著書に『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)がある。

森川 仕事には真剣に取り組んでいましたからね。ところが、その「もう3年」が過ぎても一向に異動にならない。それで2回目の辞表を出したんです。当時、日テレを辞める人なんてほとんどいませんでしたから、ちょっとした騒ぎになりまして……。退職直前に、偉い人に呼ばれて「どうせ辞めるんだったら、キミがやりたいことをやってみなさい」と、僕のためにインターネット・ビジネスの部署をつくってくれたんです。素直に嬉しかったですね。

安藤 それはすごいですね! 20代の若手のために新しい部署をつくるなんて、聞いたことがありません。会社にとっても、必要な人材だったということなんでしょうね。それにしても、20代の6年間は長いですよね。成果を出しているのに、いつまでも異動させてもらえない。そんな状況の中でがんばれたのは、なぜなのでしょう?

森川 「いつかやりたい仕事ができるはず」と信じていたからでしょうか。でも、やっぱりやるせなかったですよ。日テレに勤めていれば、待遇はいいし、知名度も高い。生活にも、遊ぶにも困らない。それでも、モヤモヤ感が消えなかったんですよね。だって、がんばって、成果を出して、認められて、「やりたいこと」をやってこそ仕事であり、人生じゃないですか。それなのに、いつまで経ってもやりたいことがやれない。それどころか、がんばればがんばるほど、やりたいことから遠ざかるわけですから。

安藤 うーん、それはつらいですね。

森川 だから、20代のころは、ひたすら「仕事って何だ?」「人生って何だ?」といった自問自答を繰り返していましたよ。

安藤 答えは見つかりましたか?

森川 はい。結局、モヤモヤの原因は、自分の中で「自分にとっての幸せ」が定義づけされていないことだったんです。それまでの自分は、世間で「良い」と言われていることを少しずつつまみ食いながら生きてきてしまったから……。

安藤 でも、ほとんどの人が世間で「良い」と言われていることに従って生きているでしょう?

森川 そうかもしれません。だけど、それは「僕」にとっての幸せではなかったんですね。だから僕は、いったん自分をリセットすることにしました。日テレを退職することにしたんです。

安藤 でも、会社は森川さんのためにインターネット・ビジネスの部署までつくりました。それは、森川さんがやりたいことだったのでは?

森川 もちろん、そう思って全力で働きました。だけど、日テレはあくまでテレビの会社。しかも、当時は業績も絶好調。インターネット事業は、彼らにとっては“邪魔”でしかなかったんだと思います。だから、何か新しいことをやろうとすると社内の壁が立ちはだかる。やりたいことを思いっきりやれる環境ではなかったんです。

安藤 なるほど。とはいえ、当時、森川さんは33歳。決して若くはありません。ご家族もいらっしゃったわけですから、厚遇される会社に残る選択もあったのでは?

森川『シンプルに考える』にも書いたのですが、「死ぬときに後悔するのは嫌だ」という思いのほうが、ずっと強かったんですよね。

安藤 それなら、いっそ外に出てしまったほうが早いだろう、と?

森川 そうですね。それに、新しいことをするとき、どうしても上の人にお伺いを立てないといけないじゃないですか。年配の人と若い人の感性は、当然違います。違いがあれば偉い人、つまり年配の人の意見が通りやすくなるのは組織の常。だったら、そういう文化がないところにいったほうが、自分は思う存分仕事ができるのではないかと考えました。

安藤 すごいなあ。それで、日本テレビからソニー、LINEの前身であるハンゲーム・ジャパンへと、それぞれ年収を半分にしながらも転職されたわけですね。しかも、ハンゲーム・ジャパンは当時、社員約30人の赤字会社だったそうですね。これは、覚悟がなければできないと思います。森川さんの、その「新しいことをしよう」と思う原動力はいったい何なのでしょう?

森川 「新しいこと」を追求しているときが、自分がいちばん楽しいときだからです。もちろん、新しいことはうまくいかないことが多いですから、苦しいときもあります。だけど、それも含めて、新しいことに挑戦しているのが、僕にとっての幸せなんです。いつも同じことばかり繰り返して、自分がいてもいなくても変わらないことを延々とやり続けるのは、耐えられない。僕にとっては、昨日よりも今日、今日よりも明日と成長し続けるような生き方が理想なんです。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

トレーシー・カチロー 著/鹿田 昌美 訳

定価(税込):本体1,600円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
子どもの豊かな心を育て、頭と体を伸ばしていくために親が知っておきたいことについて、最新の科学研究をもとに「最も信頼」できて「最も実行しやすい」アドバイスだけを厳選して詰め込んだ貴重な本。子にかけるべき言葉、睡眠、トイレトレーニング、遊び、しつけまで、これ一冊さえ持っていれば大丈夫という決定版の1冊!

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


森川亮 

1967年神奈川県生まれ。1989年筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。幼少時から一貫して音楽を続けてきたこともあり、音楽番組の制作を希望するもコンピュータシステム部門に配属。本格的にコンピュータを学ぶ。インターネットの登場に刺激を受け、ネット・ビジネスに傾倒。ネット広告や映像配信、モバイル、国際放送など多数の新規事業立ち上げに携わる。仕事のかたわら青山学院大学大学院にてMBAを取得。2000年にソニー入社。ブロードバンド事業を展開するジョイントベンチャーを成功に導く。2003年にハンゲーム・ジャパン株式会社(後にNHN Japan株式会社、現LINE株式会社)入社。4年後には日本のオンライン・ゲーム市場でナンバーワンとなる。2007年に同社の代表取締役社長に就任。2015年3月にLINE株式会社代表取締役社長を退任、顧問に就任。同年4月、動画メディアを運営するC Channel株式会社を設立、代表取締役社長に就任した。


シンプルに考える

「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を考え抜く。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできない――。LINE㈱CEO退任後、注目の経営者がはじめて明かす「仕事の流儀」!

「シンプルに考える」

⇒バックナンバー一覧