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美人のもと

座る時間

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第60回】 2010年5月6日
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 電車に乗る。電車に揺られる。できれば、座っていたい。ずっと立つのは疲れるし、ゆっくり本を読んだり、居眠りしたりしたい。席を確保できた時はホッとする。

 その座り方には個人差がある。電車だけではなく、いろんな乗り物、公園のベンチ、レストラン、ビジネスの場等々、人間は毎日いろんな場所で座っている。その座り方の差だ。

 美人は上手に座る。行儀よく座る。座るタイミング、立つタイミング、座る位置、座る姿勢、席の譲り方、それらがさりげない。さりげないから目立たない。

 見ていて残念な座り方をする人がいる。他人に迷惑をかけたり、見た目が美しくなかったり、やはり「美人のもと」が減っていると思われる人に多い。座る時、座っている時、立つ時に目立ってしまう。それぞれに大きな音が出ることが多い。さりげなく座れない。

 座る場面でのいろいろな差があるのだが、大きな差は座る時間である。美人は座るまでの時間と立つタイミングが適度である。座る場の空気に溶け込んでいる。ゆっくり座って、サッと立つ。

 目立ってしまう人は、「すぐ座る」傾向がある。

 たとえば乗り物。乗ったら「すぐ座る」ことに熱中する。空席を必死で探し、席を確保しようとする。指定席の場合でも人を押しのけて「すぐ座る」。ドンと座る。1秒でも早く座りたいのだろうか。勢いがよすぎる。うるさい。ちなみにそういう人はたいてい座ってもすぐに音を立てる。荷物をガサガサしたり、座りなおしが多かったり。落ち着きがない。

 そして立つ時はダラダラしている。イスの音を立てたり、声を出したりしながら立つ、座るときの勢いはどうした。

 ビジネスの場で誰より先に「すぐ座る」。まだ座ってはいけないタイミングなのに。そして立つべき時にいつまでも座っている。話は終わっているぞ。

 席までの時間だけではなく、座る機会も多く得ようとする。座れる場所を見つけたら、座らないと損だと思っているのか、やっぱり「すぐ座る」。そこには座れるスペースがないのに、隙間をつくって「すぐ座る」。レストランで案内もされていないのに、勝手に席を決めて「すぐ座る」。街中で、人が歩く場所なのに「すぐ座る」。公園のベンチで、カップルが二人で座っている横に「すぐ座る」。旅先で、座ってはいけない場所なのに「すぐ座る」。

 人は座ると気持が落ち着く。誰だって早く座りたい。だからこそ、座る瞬間にその喜びをゆっくり、じっくり味わえばいいと思う。

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西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

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