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東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命
【第35回】 2015年11月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
広瀬 隆 [ノンフィクション作家]

再稼働、安保、TPP……
安倍“駐日アメリカ大使”の本当の罪
――吉原毅×広瀬隆対談【パート4】

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『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。
本連載シリーズ記事も累計275万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、城南信用金庫の前理事長で「反原発」をかかげ、小泉純一郎元首相からも信頼の厚い吉原毅(よしわら・つよし)氏が初対談!
吉原氏の著書『原発ゼロで日本経済は再生する』のオビには、ベストセラー『デフレの正体』や『里山資本主義』の著者・藻谷浩介氏が、「経済人ならわかる、原発は採算割れだと。だがそう語れる真の経営者は吉原さんだけだ」とある。
吉原氏は慶應義塾大学出身のエリート金融マンだと思っていたら、それだけではなかった!
従来の金融マン像とは似ても似つかない、歯に衣着せぬ物言いで政府や東京電力へ迫る。
フクシマ原発事故後、城南信用金庫は東京電力と縁を切り、信金内の電力をガス会社主体の「エネット」というPPSへ切り換え、1000万円以上の節減に成功。大きな話題を呼んだ。
これこそ、ほんとうの“ラストバンカー”ではないか。
そんな折、8月11日の川内原発1号機に端を発し、10月15日の川内原発2号機が再稼働。そして、愛媛県の中村時広知事も伊方原発の再稼働にGOサインを出した。
再稼働後、豪雨による鬼怒川決壊、東京で震度5弱、阿蘇山噴火、南米チリ沖マグニチュード8.3地震、アフガニスタン北部のマグニチュード7.5地震など、今なお自然災害が続出している。
本誌でもこれまで、34回に分けて安倍晋三政権や各県知事、および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
地元の7割が伊方原発再稼働反対の民意を受け、「愛媛新聞」も再稼働反対の社説を展開。だが、大手マスコミはこの事実を報道せず、着々と再稼働が進められていく。
銀行と信用金庫の違い、原発、TPPなどの安倍晋三首相の政策について、気鋭の論客同士の対談4回目をお届けする。
(構成:橋本淳司)

銀行は「営利法人」、
信用金庫は「非営利法人」

広瀬 隆
(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

広瀬 僕は吉原さんに出会う前は、信用金庫という存在を深く考えたことがありませんでした。
 つまり、協同組合組織で、互いに助け合うための金融機関だとは。

吉原 信用金庫は、地域を守って、地域の人を幸せにすることを目的とした社会貢献企業です。
 信用金庫は、銀行と同じ金融機関の一業態、銀行の小型版だと考える人が少なくありませんが、そうではありません。

 銀行が利益追求を目的とした株式会社であるのに対し、信用金庫は、株式会社に対抗し、お金の弊害を是正するために生まれた、会員出資による協同組合組織の「非営利法人」なのです。

 もともと1900年に欧州から日本に伝えられた、社会改革を目的とした協同組合運動の金融部門であり、生活協同組合や農業協同組合の仲間なのです。

広瀬 原発には巨額の金が絡んでいるから、原発廃絶運動は銀行にはできませんが、独立した信用金庫にはできますね。吉原さんは哲学者ですよ。

吉原 そもそもは、小原鐵五郎(おばら・てつごろう、1899~1989)が城南信金の第3代理事長で全国信用金庫協会長を長年務め、「金融界のご意見番」と言われた人ですが、信用金庫業界が存亡の危機に立たされたとき、彼が大蔵省の役人にこんな発言をしています。

吉原 毅
(Tsuyoshi Yoshiwara)
1955年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、城南信用金庫に入職。1996年、41歳で常務理事となり、2010年、理事長に就任。ともに助け合う協同組織である信用金庫の原点回帰を打ち出し、理事長の年収を支店長の平均以下である1200万円、全役員の定年60歳、現場による経営計画の策定など、異色の改革を行っている。2011年4月1日には「原発に頼らない安心できる社会へ」を発表。職員による被災地支援も続けている。著書に『原発ゼロで日本経済は再生する』(KADOKAWA)『信用金庫の力――人をつなぐ、守る』(岩波書店)、『城南信用金庫の「脱原発」宣言』(クレヨンハウス)がある。

 「富士山の秀麗な姿には誰しも目を奪われるが、白雪に覆われた気高い頂は大きく裾野を引いた稜線があってこそそびえる。
 日本の経済もそれと同じで、大企業を富士の頂としたら、それを支える中小企業の広大な裾野があってこそ成り立つ。その大切な中小企業を支援するのが信用金庫であり、その役割は大きく、使命は重い」

広瀬 「裾野を引いた稜線があってこそそびえる」という表現はすばらしいですね。

吉原 はい。私自身が当時80歳を超えた小原さんのそばで働いていた頃、利益の出るアイデアを出すと「冗談じゃない」と一括され、消費者向けローン企画をボツにされました。そのとき、こう言われたのです。

「私たちはいつから銀行に成り下がったのですか。
 銀行は利益を目的とした企業だが、私たちは町役場の一角で生まれた、世のため、人のために尽くす社会貢献企業なのです。もともとはイギリスのマンチェスターに起源を持つ、公共的な使命を持った金融機関なのです。そのことを絶対に忘れてはいけませんよ」

 お金は人の心を狂わせ、暴走させ、良識的な判断を失わせる麻薬です。お金の魔力にとりつかれると、社会や仲間のこと、先祖や子孫のことなど気にかけず、「自分さえよければ」「今さえよければ」という発想に陥りがちです。それが、フクシマ原発事故で多くの人を苦しめる発端になった原因です。

原発が「不良債権」であると知りながら、目先の利益を求めて間違ったことをやり続け、将来に大きなツケを残す判断をしている人たちは、まさにお金の魔力にとりつかれていると言っていいでしょう。しかも誤った経済学のもとで。

広瀬「カジノ資本主義」と同じ構造ですが、私は原発だけでなく、ドシロウトの安倍晋三の経済政策がとてもコワイです。

 全世界に徘徊するヘッジファンドや、タックスヘイブンに隠されてきた巨大なマネーの動きを知らずに、デタラメの出費を続けていますからね。あの男に任せておくと、もうじき、またしても日本はごっそり金を盗まれますよ。

吉原 まさにそうなんです。戦後日本がものづくり大国になってアメリカを圧倒すると、1980年代以降、アメリカは金融、情報、軍事力による「カジノ資本主義戦略」へ転換しました。

 それが金融自由化です。日本人が溜め込んだお金を使って、世界中にデリバティブ商品による賭場を開き、世界中でバブルを起こして大儲けしました。
 しかし、2008年には自分たちまで「毒まんじゅう」を食べて腹下しを起こした。それが「リーマン・ショック」です。

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広瀬 隆 [ノンフィクション作家]

1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図で衝撃的な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯―ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『二酸化炭素温暖化説の崩壊』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』『原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論』など著書多数。


東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図で衝撃的な事実を提供し続けるノンフィクション作家の広瀬隆。『東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命』は壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた大作。51の【系図・図表と写真のリスト】と公刊された科学的データで誰も知らなかった真実を掲載。本連載では、本書周辺の原発再稼働をめぐる問題や、今そこにある危機を紹介する。

「東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命」

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