ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国内陸部で始まったファストフード戦争
毛沢東的「農村から都市を包囲する」民族系と
「大都市から地方へ進撃する」外資系が激突

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第1回】 2010年5月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 かつて、毛沢東は「農村から都市を包囲する」戦略を打ち出し、中国革命を勝利に導いた。最近、この毛沢東の戦略でビジネスを進める地方の企業が増えた。たとえば、全国で中華料理以外のファストフード店の利用率ベスト5に食い込んだ「徳克士(Dicos)」がその典型的な例である。

 上海や北京などの大都市部では無名に近いレストランチェーン店だが、地方に行くと、その存在感が侮れない。1996年に1号店をオープンした同社は、もっぱら二線・三線都市を狙う。2009年6月には、1000店舗を持つ規模になった。

 ちなみに1000番の店は山東省泰安市にある。出店先の都市の規模やランキングを見ても、次第に大きい方に移動する傾向が見られる。地方都市から進撃する同社の戦略はまさしく現代版の「農村から都市を包囲する」戦略そのものだ。2009年末現在、382の都市に出店、3億人以上の消費者をカバーしており、売上高も30億元を超えたという。

 中国の都市ランキングは幾通りかある。行政のラインから見れば、都市ランキングは、直轄市、副省級市、省会市(省都市)、地級市、県級市の順となる。

 副省級市とは、1994年に指定されたある規模以上の都市のことを言う。現在のところ、武漢、厦門、広州、瀋陽、西安、済南、長春、寧波、深セン、広州、成都、青島、ハルビン、南京、杭州、という15の都市だ。日本の政令指定都市に似ている。

 しかし、商業または市場という視点から見ると、都市の等級分けはまた違った様相を見せる。一線都市、二線都市、三線都市といった分け方がよく見られる。

一線都市:消費力が高く消費人口も多い。上海、北京、天津、広州、深セン、武漢、南京、瀋陽、西安、杭州など。
二線都市:青島、長沙、合肥、南昌、長春、寧波、済南などの地方の中核都市。
三線都市:二線都市を除いた他の地級市のほとんど。経済の発展により、例外もたくさん出てきた。たとえば、蘇州は地級市だが、その消費力は一線都市に引けを取らない。
四線都市:ランク外の多くの県級市。呼び名は定着していない。そこにも例外がある。蘇州市の傘下にある昆山市は二線都市に迫る消費力を見せている。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」

⇒バックナンバー一覧