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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

アルトに悲願のRJCカー・オブ・ザ・イヤーをもたらした、鈴木修会長の執念

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第18回】 2015年11月20日
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8代目にしてRJCカー・オブ・ザ・イヤー
を受賞したスズキ「アルト」の快挙

2016年度RJCカー・オブ・ザ・イヤー(国産車)には、スズキの「アルト/アルトラパン」が選ばれた。鈴木修会長の悲願ともいえるアルトの栄冠は、実に8代目にして叶った Photo:ZUMA Press/AFLO

 2016年度RJCカー・オブ・ザ・イヤー(国産車)にスズキの「アルト/アルトラパン」が選ばれた。

 アルトは現モデルで8代目となるが、ガソリン車ナンバーワンの低燃費37.0㎞/L(JC08モード)を実現させたスズキの軽自動車の代表車種である。今回はマツダの「ロードスター」やホンダの「S660」などのライバル車を退けて、2016年次カーオブザイヤーの栄冠に輝いた。

 この受賞を誰よりも喜んでいるのが、鈴木修・スズキ会長だろう。言わずと知れた鈴木修会長は、スズキの自動車事業を日本の軽自動車のリーダーに育て、またグローバルではインドやハンガリーなどでトップシェアを築き上げたワンマン経営者である。

 実に37年にわたってスズキの経営を担ってきた鈴木修会長にとって、最も思い入れが強いクルマがこのアルトなのである。筆者は鈴木会長とは取材を通じて40年来のつき合いだが、アルトはスズキという企業を蘇生させたクルマであり、鈴木修氏というカリスマ経営者を生み出した軽自動車なのだ。

 鈴木修会長にとって、奇しくも今年は齢(よわい)85歳を迎え、6月末に嫡男の鈴木俊宏氏に社長を譲り、その直後に懸案だった独VWとの「離婚」に決着をつけたという、大きなエポックが重なった年だった。そしてここに来て、「アルト」がカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。まさに鈴木修氏のクルマ人生の大きなメモリアルになったと言っても、過言ではないだろう。

 RJCとは、日本自動車研究者・ジャーナリスト会議(特定非営利活動法人)のことで、毎年カー・オブ・ザ・イヤーを選出し、今回で第25回目となる。今回のアルト/アルトラパンの受賞理由についてRJCは、以下のように述べている。

 「新設計による軽量化が最大の特徴。常に軽量化が求められる軽自動車にとって厳しい中での剛性アップとエンジン改良などでミリ単位の挑戦を図ったこと。結果として操縦性や足のバランスも素晴らしい出来、ノーマルでもコーナリングの安定性は想像以上に高い。また、アルトだけでなくスポーティモデルのターボRSや発表されたばかりのアルトワークスやファッション性の高いラパンなどモデルバリエーションも広い。基本性能の高さに加え、選択肢の多彩さも授賞のポイント」

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

「モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫」

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