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ドコモの回線で「iPad」を使用
NTTがひっそり始める“裏技”

週刊ダイヤモンド編集部
【第54回】 2010年5月31日
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 5月28日、米アップルが市場投入した多機能ネットワーク端末「iPad」が、日本では「iPhone」で実績を出したソフトバンク(SB)から、(1)WiFi接続(公衆無線LAN)のみと、(2)WiFi接続+3G接続(第3世代携帯電話)の2種類で発売された。

 それに先立つ18日、iPhoneに続いてiPadでも発売の機会を逃したNTTドコモは、夏商戦向けの商品発表会のタイミングに合わせて、ひっそりと「定額データプラン」の新規申し込み料金割引キャンペーンを開始した。既存の契約者と新規の契約者に大幅割引を提供するというものだが、同時に“秘密兵器”になる新商品の取り扱いを明かしていた。

 この秘密兵器は、NTT東日本の子会社で、無線ネットワーク全般を扱う技術系企画会社のNTTブロードバンドプラットフォーム(NTT-BP)と機器メーカーのバッファローが開発した「小型中継機」(PWR)である。

 これを使うと、NTTドコモの3・5世代携帯電話網(HSDPA規格)と、全国各地にある公衆無線LAN(WiFi接続)のいずれかの電波をキャッチし、状況に応じてネットワークを切り替えられる。外出時でも在宅時でもシームレスに通信ができるのだ。言うなれば、モバイル端末を軸とした「移動体通信と固定通信の融合」を先取りする技術なのだ。

 そして24日には、反対側からのアプローチとして、同じ狙いの取り組みが始まった。NTT東日本は、6月から「固定通信と移動体通信の融合」を事実上実現する新プランを発表した。こちらは固定ブロードバンド回線の「フレッツ光」(光回線)の契約者に限って、NTTドコモの秘密兵器と同じスペックのバッファロー製の小型中継機をレンタルする。

 じつは、一連の動きの裏には、ポータブルゲーム機、デジタル音楽端末、デジカメ、タブレットPCなどが増えたことに加え、2014年には国内のWiFi接続端末が1億台を超えると目されていることがある。当然、アンドロイド端末やiPhoneなどのスマートフォンも視野に入る。

 PWRの企画元であるNTT-BPの小林忠男社長は、こう胸を張る。「今後、技術の進歩でさまざまな無線ネットワークが登場するだろう。だが、無線の種類を問わず、“AかB”で切り替えられる小型中継機があれば、組み合わせは自由に考えられる。より質の高い快適なデータ通信が楽しめる」。

 そこには、NTT陣営の“意思”が見え隠れする。現時点でも、PWRを介せば、iPadのWiFi接続でNTTドコモの回線につなぐ非公式の“裏技”があるのだ。NTT陣営は、静かにグループとしてSBから回線契約を奪い返す準備を始めているのである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

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