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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

3つの重要会議から読み解く
習近平政権中期の分水嶺

加藤嘉一
【第66回】 2015年12月8日
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習近平政権中期の政権運営を占う
経済・社会政策をめぐる3つの政治会議

政権中期に差しかかる習近平体制の政治運営の行方を、最近北京で開催された3つの重要会議から読み解こう

 習近平が共産党総書記に就任して3年の月日が流れた。

 いわゆる習近平政権を2012年~2022年の10年間だと仮定した場合、政権初期が終焉し、これから政権中期に入っていくというのが、現状の意味するところであるように思う。

 過去の約1ヵ月、習近平政権中期における運営を見据える上で重要な出来事があった。主に経済・社会政策をめぐる3つの政治会議が北京で開催された。

(1)10月26~29日、共産党中央委員会第五回会議(五中全会)
(2)11月9日、中央全面深化改革領導小組第18回会議(深改組)
(3)11月10日、中央財経領導小組第11回会議

 五中全会では《中共中央の国民経済と社会発展の第十三次五ヵ年計画制定に関する提言》が審議された。毎期の五中全会は、歴史的に五ヵ年計画の策定と実施につなげるブリッジとしての役割を担ってきた。2015年は第十二次五ヵ年計画の最終年であり、第十三次は2016年~2020年という期間であり、習近平政権の中期に相当する。ここでどのような業績や成果を演出し、政権後期につなげていくか。

 2021年は共産党創設百周年に当たり、仮に習近平政権が十年だとすれば、2022年は見納めの年である。この後期では、具体的な政策よりも、象徴的、政治的、さらにはイデオロギー的なレトリックやパフォーマンスに覆われる可能性が高い。

 要するに、習近平政権全体を彩りに満ちたものにするためには、これからの5年間が肝心であり、そしてこれからの5年間の政権運営を占う上で、過去の1ヵ月に起きた政治会議をある程度レビューしておくことは有意義であるように思える。

 本稿では、上記3つの会議から今後の5年に影響を与え得るエッセンスを抽出しつつ、3つの視角から、習近平政権の現在地からみた行き先を模索してみたい。

 1つ目は、習近平総書記が掲げる経済発展観についてである。

 第十三次五ヵ年計画の《提言》に関する《説明》を自ら行った習近平は、これから5年間の経済情勢・政策・目標について次のように語っている。

 「《提言》はこれからの5年間、中高速成長の目標を掲げたが、主に考慮するのは、2020年時における国内総生産と国民平均所得を2010年時の2倍にする目標であり、そのために必要な成長の速度は必ず保持しなければならない。国内総生産の倍増からすれば、2016年から2020年における経済年平均成長のボトムラインは6.5%以上、国民平均所得の倍増からすれば、2010年の都市部と農村部における純収入はそれぞれ1万9109元と5919元であり、これらを2020年に倍増するためには、国民所得成長と経済成長を同時進行させる要求に沿って言えば、十三五期間の経済年間平均成長は少なくとも6.5%に達する必要がある」

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

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