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社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

「え、そんな話覚えていないよ…」
数多くの社内メールに紛れた重要なメッセージ
見落としたら、大惨事にもなりかねず

小川真人 [ACEコンサルティング株式会社 代表],白井邦芳 [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]
【第2回】 2010年6月2日
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損害は時間の経過とともに急拡大
早期発見がリスク管理の要

 不正の世界においては、損害額は、時間の経過とともに急速に拡大することが知られている。不正実行者の心理として、当初は、不正が発覚することに対する恐怖心もあり、不正実施後しばらくは、周囲の反応を確認するための冷却期間をおく傾向がある。しかし、不正の発覚を示す兆候がないことを確認すると、徐々に不正取引の実施間隔を短くし、かつ、金額も増大させていくのである。

 結果として、数年間にわたり継続的に実行された不正事件でも、被害金額の大半は不正が発覚する直前の最後の半年以内に生じたものである、というケースも少なくない。そのような場合、「なぜもっと早く発見できなかったのか?」という疑問を呈する人々も少なくはないだろう。特に、マスコミには、その傾向が強い。したがって、早期発見はリスク管理の要諦となる。今回はメールを例にとって、そのことを考えてみよう。

 宮崎の口蹄疫の件では、「あの時にちゃんと調べていれば、感染が分かったはずだ……」との非難が一部に起こっている。「2010年日本における口蹄疫の流行」と題したWEBサイトに、最初の感染疑い例が確認された2010年4月20日よりも相当以前の3月26日から、口蹄疫の疑いが生じていたことを詳細に示す「口蹄疫流行の経緯」が開示されており、もはやその事実を隠しおおせることは不可能である。どのような背景があったとしても、「最初の対応に失敗した」との非難を避けることはできないのである。

 その時点では、「大したことはない。」と思っていたことが、その後大問題に発展するケースは少なくない。現実問題として、たまたま問題の発端に遭遇した場合、少し変であると感じても、それ以上には気にもとめずに、放置してしまうことも少なくないのが実情であろう。しかし、時間の経過とともに格段に被害が増大する場合、早期発見のチャンスを見逃した結果、事後的に責任追及につながる危険性は、決して低くはない。

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小川真人(おがわまひと) [ACEコンサルティング株式会社 代表]

公認会計士、公認不正検査士、日本法科学技術学会正会員。慶応義塾大学商学部卒業後、1986年、ピートマーウィックミッチェル会計士事務所(現在のKPMGあずさ監査法人)に入所し、会計監査・リスクマネージメント業務に幅広く従事。2003年より2008年まで、(株)KPMG FASにて日本における不正調査サービスの責任者(パートナー)として、不正会計調査、経営者不正調査、従業員不正調査、個人情報流出事件調査など、多様な不正調査やリスクマネージメント業務を提供。2008年4月より、ACEコンサルティングを設立して独立。

白井邦芳(しらい くによし) [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]

AIU保険会社及びAIGグループ在籍時に数度の米国研修・滞在を経て、企業の危機・不祥事・再生に関するコンサルティングに多数関わる。2350事例にのぼる着手案件数は業界屈指。2009年から現職。リスクマネジメント協会評議員、日本法科学技術学会正会員、経営戦略研究所外部専門委員、著書に「ケーススタディ 企業の危機管理コンサルティング」(中央経済社)等がある。


社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

海外で発生するテロや暴動そして天災、果ては脅迫から社内の権力闘争の暴露まで。現代の企業はまさにリスク取り囲まれて活動している。ことは生命にかかわることが多いにもかかわらず、依然として、日本企業はこの種のリスクには鈍感。イザというときに、じたばたしないためには、準備こそがすべて。具体的な事例を基に危機管理の鉄則を公開する。

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