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ヒット商品開発の舞台裏

電話して2時間以内にPC修理に参上!
ありそうでなかったサービスに顧客殺到

夏目幸明 [ジャーナリスト]
【第12回】 2016年1月8日
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東芝、NEC、ヨドバシカメラなど、一流企業から信頼を得て業務提携を結び、急成長を遂げている企業がある。「ドクター・ホームネット」のブランド名で、年間約13万軒もの家庭を訪ね、パソコンやスマートフォンの修理や設定、接続を行う「日本PCサービス」だ。

2時間で顧客宅を訪ね
97%のトラブルを解決

 パソコンを使っていると「突然、電源が入らなくなった」「ウイルスに感染した」など、様々なトラブルに見舞われる。しかし、頼れてかつ親身になってくれる人は周囲にいない場合がほとんどだ。

電話して2時間以内には修理スタッフが自宅に来てくれる。便利なPC修理サービスは顧客のみならず、PCメーカーからも喜ばれた

 ネットやプリンターなどの接続や設定ができずに困っていても、サポートダイヤルには、そもそも電話がつながりにくい。何時間も待ってつながっても「パソコンの設定が悪い」「いや、プリンターがおかしいのでは?」などと、たらい回しにされることもある。

 また大切なファイルが入ったパソコンが壊れても、メーカーに修理を依頼すれば「ハードディスクの内容は消去されますがよろしいですか?」と別の選択肢は与えられない。

 日本PCサービスの「ドクター・ホームネット」は、そんな場面を対象に有償サービスを行っている。社長の家喜信行氏が話す。

 「9時から21時までスリーコール以内で電話をとって、平均2時間後にはお客様のご自宅やオフィスまでお伺いします」

 同社のサービスは至れり尽くせりだ。スーツ着用の正社員が、ケーブル類から販売できるノートパソコンまで積んだ車に乗ってやってくる。顧客宅に上がる時は使い捨てスリッパをビニールから取り出し「失礼します」と履くなど隙はない。

 顧客の依頼内容は多岐にわたる。「WindowsやiPhoneのOSアップデート中に反応しなくなった」「間違ってファイルを消してしまった」――。「でも大丈夫。お客様のご依頼の97%は、その場で解決できています」(家喜社長)

 家喜氏は兵庫県の出身だ。大学卒業後、車のメンテナンス・修理を行う店にパソコンのソフトを販売する企業へ就職した。ここで彼は、日本一の営業成績を収めた。家喜氏は決して押しが強いわけでなく、大企業にコネがあったわけでもない。彼を押し上げた手法は「競合しないこと」と「上から攻めること」の2つだった。

 「私が就職した会社の営業担当者は、近所の板金屋さんや、中古車販売業者に1件1件、電話をかけ、売り込みのためのアポイントを入れていました。最初は私も同じことをしていました。でも次第に『これ、効率悪ないか?』と思い始めたんです。現場の担当者とよい関係が築けても、最終決定権は社長が持っているから、一番上のところでひっくり返ってしまうことも多かった。でも逆に、社長から現場に降ろせば、ひっくり返ることはありません」

 家喜氏は“いきなり社長に営業に行く”という他の営業担当者がとらない手法を選んだ。競合せず、上から攻めたわけだ。なら1件1件、社長に会いに行ったのかと言えばそれも違う。

 「なかなか、いきなり社長には会えませんし、1件1件では時間もかかります。そこで、板金や中古車の組合や協会が開催している懇親会、イベント、忘年会に顔を出し、出席している多くの経営者と関係を築いたんです。コツは、信用を第一に考え、いきなり営業しないこと。まずは親しくなり、私の人柄を知ってもらったあとでWIN-WINになる話を切り出すんです。すると、振り向いてもらえることが多かったですね」

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夏目幸明[ジャーナリスト]

1972年、愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店に入社。その後、雑誌記者に。小学館「DIME」の『ヒット商品開発秘話 UN.DON.COM』や講談社「週刊現代」の『社長の風景』などを連載中。著書に『大停電(ブラックアウト)を回避せよ!』(PHP研究所)などがある。


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