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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

6月議会、未だ招集せず。議会不要と専決処分を乱発
エスカレートする阿久根市の竹原市長の暴走

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第5回】 2010年6月15日
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 「次々とひどいことをやるので、市民もメディアも驚かなくなっています。感覚がマヒしてしまっているのです」

 こう嘆くのは、鹿児島県阿久根市の牛之浜由美市議。暴走を続ける竹原信一市長の市政運営についてである。一昨年8月の初当選直後から自らのブログ上で議員や市職員組合を激しく攻撃し、ルール無視の市政を始めた阿久根市の竹原市長。その勢いはとまらず、逆にエスカレートする一方である。

市条例では定例会を年4回開くことになっているが、開かなかった場合の罰則規定はない。写真は鹿児島県阿久根市議会議場。

 竹原市長は10年度予算案を審議する3月議会への出席をボイコットし、市幹部職員にも議会側への説明を禁止するという行為に出た。法律が想定していない前代未聞のことで、世間を仰天させた。議会制民主主義を否定する暴挙だが、審議に応じないことへの罰則規定はなく、議会側はやむなく予算案を減額修正して可決した。

 議会側が市民への報告会を開催したところ、議会への出席をボイコットした竹原市長が会場に姿を現し、居並ぶ議員に対し「あなたたちは市政に参加させない」と言い放って立ち去った。そして、その言葉通り、竹原市長は6月定例会を招集(議会の招集権は首長にあり)せず、専決処分を乱発するようになった。

 市条例では定例会を年4回開くことになっているが、開かなかった場合の罰則規定はない。また、専決処分は、緊急を要する案件で議会を招集する時間的余裕のない場合などに限り、首長が議会に諮らずに決定できるもので、処分後に改めて議会に承認を求めることになっている。これにも罰則規定はなく、竹原市長は「仕事は急いでやるべきだ。議会にかけたら時間がかかる」として、専決処分を乱用するようになった。

 こうした市長の度重なる議会無視の行動に対し、議員側は臨時会の招集請求という措置に打って出た。地方自治法に、議員定数の4分の1以上の賛同により、首長に臨時会の招集を請求できるとの規定がある。請求を受けた首長は20日以内に招集しなければならないと、定められている。阿久根市議による招集請求は6月8日。賛同者は16人いる議員のうち、議長を除く11人。請求理由として、口蹄疫の対策強化と市職員の賞与減額条例の改正、そして、通年議会を想定した市議会定例会条例の改正の3点があげられた。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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