『週刊ダイヤモンド』1月16日号の第1特集は「お宝銘柄を探せ!」。大波乱相場でもキラリと光る「お宝成長銘柄」をご紹介します。

 インテル、コマツ、ソニー、DeNA──。国内外のそうそうたる有力企業が相次いで出資しているベンチャー企業がある。自動運転システムを開発・販売するZMP(東京都文京区)だ。一体、社員70人の小さな企業の何が、これらの企業を引き付けるのか。

 自動運転には、物を見て認知する技術、得られた情報を判断する技術、判断に従って操作する技術が求められる。同社の最大の強みは、認知と判断という自動運転の「頭脳」に関わるハードとソフトを、自前で作っている点にある。

 物を見て認知するためのカメラである「ロボビジョン」には、資本提携しているソニーのCMOSセンサーが搭載されている。情報を判断する人工知能「IZAC(アイザック)」には、同じく資本提携しているインテルのCPUが組み込まれている。資本提携で協業しつつ自前で開発することで、「進化のスピードが格段に速くなる」(谷口恒社長)。

 自動運転技術で世界の最先端をいくZMPが現在注力しているのが、無人運転車によるタクシーサービス「ロボットタクシー」の実用化だ。2015年5月にDeNAと共同出資してロボットタクシー事業の新会社を設立し、20年の東京五輪時には、法整備が進めば3000台のロボットタクシーを走らせる予定だ。すでにプロトタイプを走らせて実験を始めており、19年後半からは量産を開始する。

「前回の東京五輪の年に生を受けた人間として、20年の五輪でイノベーションを起こして、次世代の新しい日本をつくっていきたい」と谷口社長は意気込む。

 同社のロボビジョンとIZACは、自律移動を制御できる点で自動運転以外の分野でも応用が可能だ。建機や農機、物流の台車など、用途は今後どんどん広がっていきそうだ。

 同社には昨年来、新規上場(IPO)の期待が高まっており、投資家の熱い視線が注がれている。