消費者金融の利用者が、カネを借りたり返済したりする際に利用していたATM(現金自動預け払い機)の一部が使えなくなり、混乱が生じている。
これまで利用者は、銀行や信用金庫といった金融機関のATMからでもカネの出し入れが可能だった。ATMの相互利用に関する業務提携が結ばれていたからだ。
それが5月末を境に、多くの金融機関のATMが利用不可能となってしまった。金融機関側が、提携を解消してしまったためだ。
多いところでは、プロミスで銀行103行、信用金庫264金庫との相互利用が停止、提携ATMすべてが使えなくなってしまった。
背景にあるのは、6月18日に完全施行される貸金業法の改正。貸金業者は、利息を含めた返済額の合計などを、新たに書面で交付しなければならなくなったのだ。
銀行やカード会社などと違って、消費者金融の利用者は周囲に内緒にしていることが多く、自宅に必要事項を記した書類を郵送することができない。そのため、ATMの利用明細にすべて盛り込むことを検討、金融機関側にシステム対応を依頼していた。
ところが、そのコストが数千万~億円単位に上ることが判明。「なぜ消費者金融の利用者のためにそこまで負担しなければならないのか」と反発を強め、提携解消が相次いだというわけだ。
ただ、例外もある。コンビニエンスストアやスーパーでATMを展開しているセブン銀行やイオン銀行にとって、消費者金融から入る手数料は大きな収益源。そのため、すぐさまシステム対応しており、これまでどおり使える。
だが、こうした事情は十分に利用者に伝えられておらず、混乱する利用者がさらに増えることは間違いない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)