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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

独り暮らしの「生活保護の障害者」が直面する八方塞がり

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第36回】 2016年1月15日
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前回は、ひとり親世帯に対する児童扶養手当が、4ヵ月に1回の「まとめ支給」であることの問題点を紹介した。障害者に対しても同様の問題があり、障害年金は2ヵ月に1回、自治体の障害者手当は3ヵ月に1回の「まとめ支給」だ。さらに生活保護を利用している場合、どのような「やりくり」が必要になるのだろうか?

家族が減っていくとともに
生活保護費も減っていく

公的手当の「まとめ支給」の問題は、障害を抱える生活保護当事者にもあてはまる

 馬場寿一さん(仮名・54歳)は、千葉県の中都市で生活保護を利用して1人暮らしをしている。住まいは県営住宅の世帯向け住居。かつては聴覚障害者の父親・肢体不自由の母親・2歳下の弟さんとともに4人で生活していた。馬場さん自身も精神障害者である。馬場さん一家が生活保護に至った経緯と、その後3年間の生活ぶりについては、『生活保護のリアル』政策ウォッチ編・第25回「『生活保護からの脱却』は夢に終わるか 貧困にあえぐ障害者一家に育った50代男性のいま」をご参照いただきたい。

 馬場さんは、この1年あまり、経済状況の激変に翻弄されている。弟さんが2008年に難病に罹患して内部障害者となり、それが原因で失職した2009年以後、一家は生活保護を利用してきている。もちろん現在も生活保護での生活だ。

 経済状況が激変した最大の要因は、家族構成の変化だ。この間、生活保護基準の引き下げも、生活費(2013年~2015年)・家賃補助(2015年)・冬の暖房費等に対する補助(2015年)と続いているのだが、馬場さんの生活を最も苦しめているのは、それらの引き下げではない。

 2009年に生活保護を利用し始めた当初、一家は母親(当時70代・障害者)と兄弟(当時40代・障害者)の3人世帯だった。しかし2010年、階段のある県営住宅での生活が困難になった母親が介護施設に入所し、世帯構成は「母親(当時70代・障害者・施設入所中)と兄弟(当時40代・障害者)」となった。

 その後も、母親の身体能力の低下・弟さんの病状の悪化は進んだ。2014年10月末、母親が県営住宅に戻る見込みはなくなったため、一家は母親を世帯分離し、兄弟2人(53歳・51歳、障害者)の世帯となった。翌々月の2014年12月、弟さんの病状が急激に悪化し、2015年1月半ばに亡くなった。一家ともども親類縁者から絶縁されていた馬場さんは、家族全員を失い、一人になった。

 世帯構成が「母親+兄弟の3人世帯」→「母親+兄弟の3人世帯(1人は介護施設入所)」→「2人世帯」→「単身世帯」と変化すれば、世帯に支給される生活保護費が変わる。もしも万一、弟さんが現在も生きていることにして2人世帯に対する保護費を受け取ったら、まぎれもない不正受給である。生活保護に対する世間の目に激しい怒りを抱く馬場さんは、不正受給も激しく憎んでいる。もちろん、そんな方法は考え付きもしない。

 自治体としては制度として当然の運用を行い、利用者も制度として当然の範囲で制度を利用したにすぎない。

 このことは、馬場さん自身に何をもたらしたのだろうか?

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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